橋本裕の日記
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日本は国連にアメリカに次ぐ拠出金を払っている。それも律儀に、滞納することもなく払い続けてきた。資金不足にあえぐ国連にとって、日本はありがたい存在である。経済でもアメリカに次ぐ規模を誇る日本を、常任理事国に迎えておかしいことは何もない。
ところが、これに反対する声が、中国、韓国から起こってきた。反日デモが繰り返され、「日本を常任理事国にさせるな」と大使館に投石までする。とくに中国は日本から経済的援助を受け、大量の投資を受け入れて、経済発展してきた国である。
日本は常任理事国になるために、多数派工作に余念がない。加盟国の2/3から日本を支持して貰おうとがんばっている。しかし、拒否権をもつ中国が反対に回れば、日本が常任理事国になることは不可能である。
私が不思議に思うのは、もし小泉政権が本気で常任理事国入りを考えているのなら、首相の靖国神社参拝など、なぜ、中国や韓国の神経を逆なでするようなことを平然と繰り返しているのかということである。
小泉首相は温家宝首相との久々の首脳会談でも、ODA打ち切りを持ち出して、プライドを傷つけ、中国側の態度を硬化させている。島根県議会が「竹島」の領有を議決したときにも、政府や自民党はこれを許した。もし、本気で常任理事国入りをしたいなら、この微妙な時期にこうした動きき出ることを牽制したはずである。
同じ敗戦国でありながら、ドイツは近隣のフランスやオランダなどから暖かい支持を得ている。中国もドイツには反対しないだろう。この違いはどこから生まれたのか。それは戦後、両国がどれだけ戦争を反省し、近隣諸国との友好関係を大切にしてきたかの違いだといえる。
日本はドイツのような地道な努力をしてこなかった。ただひたすらアメリカのいいなりになり、その軍事力と経済力に依存して、ここまでやってきた。こうした戦術は冷戦構造のなかでは有効に働いたが、アメリカの覇権が急速に失われつつある現在、もはや神通力を失いつつある。こうした国際政治のダイナミックスを、小泉首相や外務省はどれほど理解しているのか疑われる。
これにたいして、中国は外交上手である。反日デモのさなか、温首相は経済界などから約150人をひきつれてインドを訪問し、シン首相と会談している。そして、温首相が「両国間に友好の橋を築き上げたい。IT産業のソフトウエア部門に秀でたインドと、ハードウエア部門が得意な中国が手を結べば世界をリードできる」と表明すれば、シン首相も「両国が協力すれば世界の秩序を新たに形成することも可能だ」と語っている。
1994年には10億ドル規模だった両国の貿易額が、2004年には136百三十六億ドルにまで、10年間で10倍も拡大している。今回の訪問では投資の拡大や科学技術、文化交流の促進を定めた文書なども調印された。英紙フィナンシャル・タイムズは「中国はインドとの関係強化を通じITだけでなく宇宙工学や生物化学を含めた高度技術の獲得を狙っている」との見方を伝えている。
アメリカに気を使い、アジアでの立場を失い、国歌・国旗がどうのこうのとますます内向きになる日本に対し、中国はこれまで敵対していたインドとも手を結び、アジアのみならず世界で政治的にも経済的にも指導的な地位を築こうとしている。日本外交の不在はいつまで続くのだろうか。
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