橋本裕の日記
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かっての同僚で友人のAさんは、いつも何か係争中の事件をかかえていた。隣家との境界で争い、伯父さんの相続で争い、さらには施設で死んだ叔母さんのことで施設を訴えたりと、なかなか忙しそうだった。
そのたびに弁護士を雇い、学校を休んで裁判所に出かけなければならない。たとえ裁判に勝ってもどれほどの収入の足しになるのかわからない。私に言わせれば時間と精力の無駄使いのように思われるのだが、本人は私に愚痴をこぼしながらもやるき満々である。彼にとって訴訟を起こし、誰かと争っているのが生き甲斐なのかもしれない。
隣家との土地争いの場合は、その境界線がほんの10センチほどずれているというだけの話である。そもそも彼の家の敷地は何百坪とある。本宅があり、別棟が二つ、さらに倉や車庫がある。敷地の中に畑があり、本格的な庭がある。私の家の敷地の10倍は悠にある。
そして他に田んぼや畑がたくさんある。コンビニエンス・ストアに貸している土地もあれば、駐車場にして臨時収入を得ている土地もある。これだけの財産を持ちながら、屋敷のわずか10センチほどの境界で争うところがわからない。
しかも相手は同じ姓を名乗る彼の分家である。その分家もAさんほどではないが、大きな屋敷と庭がある。お互いに財産家なのだが、1センチも譲れなくて双方が弁護士を立てて正面から争うわけだ。
Aさんに言わせると、この分家は土地のことで夕食中に家に怒鳴り込んできたこともあるという。そして近所中にAさんの悪口を流しているという。分家のしわざかどうかわからないが、あるとき本宅の壁にガソリンがぶちまけられていた。
しかし、Aさんがやとった弁護士は高等裁判所の判事をしたこともある大物弁護士だから負けるはずがないのだという。 私はこの話を聞きながら、わが家に起こった土地争いの話をしてやった。
実は私も父が死んだ後、親戚に土地を取られた。それも半端な土地ではない。1千坪もあった屋敷の半分を奪われた。Aさんにこの話をすると、彼はいよいよ私の「ごくらくトンボ」ぶりにあきれた。明日の日記で、「土地を盗られた話」と題して、これを書いてみよう。
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