橋本裕の日記
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江草乗さんの人気コラム「江草乗の言いたい放題」には、昨日紹介したゾウと水牛の話の他に、野ウサギなどの野生動物も被害を免れたという注目すべきエピソードが紹介されている。
<スマトラ島沖地震に伴う津波の被害を受けたスリランカ南東部のヤラ国立公園では、野生動物の死がいが発見されておらず、関係者を驚かせているらしい。スリランカ最大の鳥獣保護区であるヤラ国立公園では数百頭のゾウやヒョウなどの野生動物が生息しており、今回の津波では、沿岸から3キロに渡って公園が洪水状態になったのである。ところが奇妙なことに、ゾウはおろか、野ウサギの死がいもまだ発見されていないのだ。これはどういうことなのだろうか。 スリランカ政府の野生動物保護の担当官は、「動物には天災を感知する能力があり、第六感で異変が起きる時を知るのだろう」とコメントしているという。このヤラ国立公園では、日本人を含む少なくとも40人の観光客が被災した。人間は野生動物と違って全く無防備に津波の直撃を受けたからだ>
ゾウと水牛の話も不思議だったが、こうした天災を予知する能力を、他のほとんどの野生動物も持っているということだろう。言語は人間を文明化したが、また貴重な能力を奪うことになったのかもしれない。
昨年度は、世界規模で災害が多い一年だった。地震や台風、ハリケーン、大洪水などがひんぱんに起こり、多くの人命が奪われた。こうした天変地異について、天災だと片づけることに疑問を持つ研究者が増えている。多かれ少なかれ、そこに文明化がもたらした災害としての要素が見てとれるからだ。
2003年秋に、米国防総省が地球温暖化に関する報告書を発表した。それによると、2020年にはヨーロッパの主要都市は海面下に没し、イギリスはシベリア化し、世界は干ばつと大洪水にのみ込まれるのだという。
その結果、何が予想されるか。人々は食糧危機に陥り、飢餓と暴動が頻発し、各国は食料や水などの生活必需品をめぐって戦争状態になるだろう。大国は核の脅威を振りかざすようになり、世界は無政府状態と騒乱に陥る。これが、米国防総省の想定した近未来の地球の姿である。
アメリカの凄いところは、こうした地獄を想定しながら、これを防ぐための手だてを講じようとしないところである。それどころか、軍事力を強化して、「さあ、こい! 何が来ても他のやつらにはまけないぞ」と待ちかまえている。こうした世界をサバイバル・ゲームの舞台とみる発想はほんとうに恐ろしい。
わずか世界の人口の5パーセントにも満たないアメリカが、世界の富の大半を独占し、25パーセントのエネルギーを消費し、そして20パーセントの二酸化炭素を排出している。しかし、2001年に「京都議定書」から離脱したアメリカは、地球環境の問題について頬かむりしたまま、ひたすら経済優先主義を走り続けている。
古来栄えた文明はいずれも滅亡している。エジプト文明、メソポタミア文明、ギリシャ文明、ローマ文明、いずれもそうだ。どうして文明は滅びるのか。それは文明そのものの内部に、自然破壊という滅びへの道が内包されているからだった。
ローマが滅びたとき、「文明」は新たなる緑の大地を求めてヨーロッパに進出した。そして、またたくまに緑を奪い、次の処女地であるアメリカに進出した。そして「文明」はそこでも貪婪な食欲を発揮し、いまやアメリカの大半を砂漠の大地に変えようとしている。
そればかりではない。「文明」はさらに巨大化し、いまや地球全体をグローバリズムの名の下に収奪しつつある。地球はこの凶悪な「文明」によって今や完全に蝕まれようとしている。「文明」はしかしこの先、どこに新たな天地を求めたらよいのか。
残念ながら、人類は地球から外に逃れることはできない。「文明」の名の下で、人類はこの地球で生き残りをかけて、悲惨なサバイバル・ゲームを続けなければならず、その先に待ちかまえているのは、あのイースタ島の巨石文明に見られる共倒れの運命である。
それでは、私たちはどうすべきか。新しい文明を構築することである。それは、世界をサバイバルの舞台にしないような文明である。人生をサバイバルの舞台にしないような、しなやかでやさしい文化である。
そのような、たくさんの命が生き生きと共生することのできる美しい文明や文化はどこにあるか。それはかってこの世界に存在したし、日本にもゆたかに存在した。そして、よくよく見れば、いまもこの世界に存在している。
よく見れば なずな花さく 垣根かな (芭蕉)
戦争や紛争、犯罪はサバイバル主義の文明がもたらした悪しき産物である。私たちはいまやもてる叡智の限りを尽くして、命と命がサバイバルする社会から、命と命が支え合い、共生する社会へと、私たちの生きる仕組みを変えていかなければならない。残された時間はもうほとんどないのだから。
(参考サイト) http://www.enpitu.ne.jp/usr4/bin/day?id=41506&pg=20050104 http://www.enpitu.ne.jp/usr4/bin/day?id=41506&pg=20041230
http://www.nnn.co.jp/dainichi/column/tisin/tisin0501.html#06
http://mitsui.mgssi.com/terashima/0404.html
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