橋本裕の日記
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2004年11月16日(火) よく遊び、よく学べ

 リヒテルズ直子さんによれば、オランダの小学校には宿題がないのだという。子供たちは午後3時頃に学校から帰ってくると、宿題にも塾通いにも追われることはなく、力一杯自由時間をたのしむ。そこにはゆたかな遊びの世界が広がっている。

 こうしたゆたかな時間が持てるのは、高校や大学に進学するための入学試験がないからだ。だから、日本のように、入学試験でいい点数をとらなければならないという強迫観念が子供にも親にもない。

 オランダの小中学校にはクラブ活動もほとんどないのだという。子供たちは学校が終われば、家庭や地域に戻り、スポーツや文化活動を学校とは離れたところで、自由参加で行っている。地域には学校から独立した民間のスポーツクラブや文化センターがたくさんあるのだという。そこに大学生や市民達も一緒に参加する。

<子供を学校という隔離された世界に閉じこめるのではなく、家庭、近隣、周りの自然界との関係、教師と子供の関係、子供同士の関係などを通じて外界との関係に目覚めさせ、人間と人間をつなぐ社会的な行動を学ぶことの重要さを多かれ少なかれ強調しています>(オランダの教育)

 日本の子供たちの世界は、家庭、学校、地域がひとつの中心をもつ同心円の世界である。しかし、オランダの子供たちの世界は、この三者が別の中心を持ち、それぞれが重なりあう部分と、独自な部分を持っている。子供たちには人的交流の面でもそれだけ多様性のある生活が保障される。

 オランダの生んだ碩学のホイジンガーは「ホモ・ルーデンス(遊ぶひと)」の中で、文化を創造するものは「遊びこころ」だと書いている。オランダというのはこれという資源もない小さな国だ。こうした国が世界の中で一流国として生き残っていくためには、人を育てることしかない。

 そのために家庭と学校と地域が、それぞれの立場から、子供たちを手厚く支えている。そうしたなかで、子供たちは強迫観念からではなく、もっとゆたかな「遊び」を通して、大切なことを学んでいく。リヒテルズ直子さんの言葉によれば、子供たちはこうして、自ら世界を発見し、「学ぶことを学んでいく」のだという。


橋本裕 |MAILHomePage

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