橋本裕の日記
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2004年11月07日(日) 森が教えてくれること

 昨日はオランダの学校について書いた。今日はデンマークの幼稚園について書こう。資料として手元にあるのは、デンマークで暮らし、子育てをしてみえる高田ケラー有子さんのメルマガ『平らな国デンマーク/子育ての現場から』である。とくに、第13回「森が教えてくれること」、第18回 「自由気ままな幼稚園」から、多く引用させていただく。

 デンマークの幼稚園では毎週一日は遠足があり、おもに海辺や森に出かけていく。なかでも「森の幼稚園」の場合は、毎日、森に出かける。森そのものが幼稚園なので、こうよばれているらしい。デンマークに63ほどあるのだという。

<森の幼稚園とは、毎日を森で過ごしながら園児を保育する機関のことで、毎朝決まった時間に決まった場所で集合して、そこから森へ入って行きます。よほどの天候不良でない限り、雨が降っても雪が降ってもお休みにはなりません。・・・多くの森の幼稚園が、朝9時前後から午後1時くらいまでの時間を森で過ごしているようです。「おむつがはずれたら、いつでも誰でも入れますよ」というのが幼稚園の受け入れ態勢のようです>

<郊外の幼稚園では、近くの森に散歩に出かけることはごく日常的に行われています。これが、森の幼稚園では毎日のこととなる訳ですが、毎日新しい発見があり、森に暮らす小動物の息づかいや、木々や草花の変化に子供たちはアイデア豊富にいろいろな遊び方を発見するようです。机やいすがなくても、自然から学ぶことは多くあります。もちろん、森の中でお話や物語を聞く時間もあり、また歌を歌ったりゲームをしながら過ごすようです。急な雨や冷たい風からも、森の木々が子供たちを守ってくれます。森は優しい器なのです>

<森の幼稚園に子供を預けたいと思っている両親の多くが、子供を丈夫にしたい、という願いがあるようです。なかには喘息持ちの子供などもあるそうで、森の中で新鮮な空気を胸いっぱい吸いながら、子供たちは丈夫になっていくようです。体だけでなく、精神的にも強くなるように思いますし、森の幼稚園でなくても森への散歩を欠かさないことは、子供の体と心の栄養になるように思います>

『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(ロバート・フルガム著)という本が日本でもベストセラーになったが、幼稚教育というのはとても大切である。幼稚園でのゆたかな体験が、その人の一生に及ぼす影響は無視することができない。そうした視点から、もう少しデンマークの幼稚園を見てみよう。

<幼稚園での過ごし方は、3〜5歳児クラスはほんとうに自由気まま。やりたいことをやりたい時にやりたいようにさせている、という印象で、外遊びも思いっきりさせます。基本的に悪天候でない限り、毎日外で遊ぶことが基本で、息子の幼稚園は特に外遊びの環境としてはとてもいい環境にありました。ちょっと小高い丘になっている林や、芝生の山、コンクリートの三輪車などの遊び場、砂場はもちろん、さまざまな遊具など、ちょっとしたフィールドアスレチックのようで、子供たちは毎日、ほとんど野放し状態で外遊びを楽しんでいます>

<本を読んで欲しい子供がいたら一人の先生の周りにそういう子供が集まってお話を聞いていたり、その傍らでは、別の先生と他の子供たちがゲームをしていたり、外ではまた別の先生がいっしょに外遊びをしていたり、というような自由な活動をしています。保育師一人当たりの園児数で言うと、息子の幼稚園では6人というのが平均的な数字で、20人のクラスにたいてい3〜4人の保育師がついている、という感じでした>

<5〜6歳児のいる年長さんクラスになると、基本は自由きままですが、1日に1度は先生のお話を聞く時間が設けられ、徐々に来年は学校に行くのだ、という意識を芽生えさせます。でも、だからといって、アルファベットを覚えさせるわけでもなく、ただ、人の話を集中して聞く時間を少しづつ増やして行く、という感じです>

<幼稚園の建物の構造的には、ひとつの大きな家、というような意識があり、中央は誰でも使えるスペースとしてリビングルームのような設定になっており、その傍らにキッチンスペースがあり、時には園児たちもパンを焼いたりクッキーを焼いたりします。各教室はそのリビングルームを取り囲むように配置されていて、それぞれにメインル−ムと「枕の部屋」そしてトイレが配置されています>

 「枕の部屋」には大きなクッションや小さな枕など柔らかい感触のものを豊富に置いあり、子供たちはそこで飛び跳ねたり、寝そべったり、枕投げをしたりして自由にすごすことができる。ときには一人になりたい子供が、そこで枕に埋もれて泣いたりもできるのだという。デンマークの幼稚園にはたいていこうしたプライベートないごごちのよい小部屋がいくつか用意されているらしい。

<入園式も卒園式もないのはある意味で無駄がなくていいのですが、無駄がないと言えば、デンマークの公立の保育機関では、制服なるものは体操服も含めて一切ありません。各自が自由な服装で過ごします。鞄や靴ももちろん自由です。無駄がなく合理的である反面、新しい制服に袖を通す喜びとか、式を迎えるワクワク感とか、そうした感情を全く味わう事がないというのは、少々寂しい気もしないではないです。しかしながら、そうした習慣がないのですから、それを寂しいと感じようもない、というのは当然のことかもしれません>

 デンマークの幼稚園には運動会や学芸会のようなものが一切なく、そもそもみんなでいっしょに何かを練習してそれを披露するという発想がないらしい。徒競走のように子供に順位をつけることもなく、競争心を育てられることもない。日本の幼稚園とは随分様子が違っている。これも国民性の違いであろう。


橋本裕 |MAILHomePage

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