橋本裕の日記
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2003年10月09日(木) フィンランドの学校

 フィンランドの小学校は6年間、中学校は3年間。日本と同じだが、違うのは2ヶ月以上の長い夏休みがあり、その間、宿題もほとんどないとのこと。ただフィンランドでは小学校3年から英語の授業が始まる。高学年になると選択授業として、第二外国語(主にドイツ語、フランス語)が週に1,2度、学べるようになっている。また、「宗教」の時間があり、自分の宗教や他の宗教について基本的なことを学ぶという。

 フィンランドとは「フン族の国」ということで、ハンガリー(ハン族の国)と同様、他のヨーロッパとは毛色が違っている。フィンランド語も発音は母音で終わるなど日本語に近く、文の構造もインド・ヨーロッパ語(英語)とはまったく違っている。しかし、フィンランド人は英語に堪能で、20代、30代の人で英語が話せない人はまずいない。この点、日本とはずいぶん違っている。

 日本でいう英検やTOEICといった英語のレベルをはかる試験はないが、これは高校を卒業すれば英語ができて当たり前と考えられているからだ。高校に入ると、英語やスエーデン語などに加えて、第3外国語が必修になり、さらに第4外国語も学べる。大学ではどんな言語でも、何カ国語でも勉強できる。だから、多くのフィンランド人は母国語を入れて英語、スウェーデン語、そしてもう1つ又は2つ、全部で4カ国語以上できる人が多いという。

 フィンランドの学校はすべて公立で、授業料はいらない。また入学試験もない。高校はだれでも入れるが、しかし卒業はむつかしい。卒業するときには、全国共通の卒業試験があり、この難関を突破しないと卒業できない。だから高校には本当に勉強が好きで、大学に進学したい人が通い、他の人は職業訓練校に進むようだ。大学入試には高校卒業試験の成績が使われる。大学の人気のある学科に進学しようと思えば、この試験で好成績をマークしなければならない。

 フィンランドの大学はまったく学年がなく、学部や大学院の垣根もない。日本の大学とシステムがかなり違う。1年のうちに取るべき単位数、科目は特に決められておらず、自分の勉強したいことが自由にできるようになっている。そして入学して160単位をとると、修士がもらえる。そして更に研究を続けたければ博士課程に進むことができる。

 学部の垣根もなく、他の学部の授業もとれる。授業料は無料なので、中には10年以上かけてゆっくり修士をとる人もいる。授業は基本的にはフィンランド語で行われるが、英語で行われる授業も100以上あるという。留学生にとってはありがたいようだ。

 この国では学生はとくに優遇されている。一人暮らしの学生であれば、毎月約5万円の生活援助が誰でも受けられる。返済義務もないので、ほとんどの学生が利用している。学生証を見せれば、公共交通機関の運賃や学内での食事が半額になる。したがって、フィンランドの学生は金銭面で親に全く頼っていない。18歳になったら親とは別居するのがふつうだという。しっかり自立できるシステムが社会的にできているわけだ。またフィンランド人は早いうちからこうした自立心を養う社会環境に身を置いている。

 たとえば、フィンランドの小中高の学生は2カ月半、大学生は3カ月の休みがあるが、小学生を除けばたいていだれもがアルバイトに精を出す。中学生や高校生は畑で果物や野菜の収穫を手伝ったり、市が斡旋する街の清掃や公園整備の仕事に精を出し、こうして自分で稼いだお金で旅行したり、欲しいものを買う。

 大学生に人気なのは企業でのアルバイトだという。フィンランドの企業は社員には1カ月の夏休みが義務付けられている。その穴埋めとして、大学生が雇われるわけだ。企業は労働力不足をこれによって補うばかりではなく、将来の人材を育成することにもなる。学生にとっても企業での仕事体験は将来の方向を決める上で役に立つ。フィンランドではこうして日本では考えられないほど、夏にアルバイトをする学生が多いし、それを雇う企業や公共機関も多い。こうして早いうちから労働を体験し、社会性を身につけて自立する準備をしているわけだ。こうした労働を通した人生体験が学校での「勉強」の動機付けともなり、ほんとうの「学力」を身につける培地にもなっているわけだ。

 (参考サイト)「フィンランドEメール日記」http://www.shinshu.co.jp/lensai/finland/index.html


橋本裕 |MAILHomePage

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