橋本裕の日記
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2001年12月23日(日) 安楽か自由か

 良寛は18歳で、隠居した父の跡をついで、庄屋見習いになった。ところが、22歳の時突然出家した。そして、故郷の越後を離れて、遠く瀬戸内海の円通寺に修行に行く。

 良寛の出家の動機は、よくわからない。良寛自身、自らのことをあまり語っていないからだ。庄屋見習いの職になじまなかったからだとか、国仙和尚に出会って道心に目覚めたからだとか、色々な説があるが、どれも憶説である。

 そこで、私自身の説を書こう。私は良寛の出家の根底に、「自由への憧れ」があったのではないかと見ている。なぜなら、良寛の生涯を通して、一貫しているのが、この自由への意志だからだ。

 良寛は自由を求めて出家した。しかし、寺に来てみると、そこにも自由はなかった。あるのは俗世以上に腐敗した現実である。そこで、良寛はふたたび、寺をはなれて、故郷に還ってくる。

  焚くほどは風がもてくる落ち葉かな

 世を捨てた良寛に、もはや俗人としての生活はない。俗でもなく、僧でもない一介の人間として生きること、彼がたどり着いたのはこのような境涯だった。彼は生来の性として、このような狂気とでもいえる性向をもっていたのだろうと思う。あえていえば、この狂気が青年時代の彼を出家へと走らせたのだろう。

(参考) 「良寛讃歌」橋本裕 (「作家」1986年)


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