橋本裕の日記
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2001年12月21日(金) 支配者なき支配

 社会哲学者ハンナ・アレントが「人間の条件」という本のなかで、現代における支配の特徴的なありかたとして、「支配者なき支配」をあげている。古代や近世であれば、皇帝や絶対君主という目に見える支配者がいた。しかし、現代ではこの「支配者」が目に見えなくなりつつある。

 なぜこういうことになるのかと言えば、現代はシステム優位の時代だからだろう。現代のシステムは私たちに衣食住を提供し、多くの場合、快適な生活を保障してくれる。こうしたシステムのなかで生きていると、そのシステムから離れた生活が次第に困難になる。そして、考え方までいつか、システムに順応したもの洗脳される。

 スティーブ・ハッサンは「マインドコントロールの恐怖」という本のなかで、支配のレベルを次の4段階で説明している。

�々堝阿離灰鵐肇蹇璽襦兵�由時間と行動の制限)
�∋彖曚離灰鵐肇蹇璽襦福�か×かの紋切り型の思考)
�4蕎陲離灰鵐肇蹇璽襦丙甍�感、恐怖)
�ぞ霾鵑離灰鵐肇蹇璽襦柄�択された知識や情報しか受け付けなくなる)

 戦前の日本はまさにレベル4の段階だったといえよう。そして、ある意味では「支配者なき支配」の様相を呈していた。なぜなら、天皇は名目上の支配者にしかすぎず、それではだれが権力を握っていたのかと問われると、まったくはっきりしないのである。

 そのような「支配者なき支配」の状況は、戦後も続いている。私たちも又、知らず知らずのうちに、システムによって支配され、洗脳されている。そしてシステムによる支配のレベルは第4段階のかなり深いところに達していると見なければならない。恐怖はなにもホラー映画のなかにばかりあるのではない。恐怖は私たちの日常の中にひそんでいる。


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