罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
また、吐き気がした。 黒の声がする。 弱々しくて聞き取れない。 何度も嘔吐しかけて、まだ日も昇らない街を彷徨って。 軒先に座り込んで肩で息をする。 情けない。 みっともない。 そんな自分に嫌気がさしても、笑顔が崩れない。 涙も出て来ない。 力無く、声を上げて笑った。 そう、僕にはこれしか無い。 こんな事しか出来ない。
僕を息子と呼ぶヒトよ、 僕は貴方の息子ではないのです。 僕の後ろで呪詛を囁く存在が、 貴方の息子として生きて来たモノの成れの果てなのです。 それでも、貴方は僕を息子と呼べるのですか。 壊れた彼の残骸からこぼれた破片でも。 だから、まだ僕は教えない。
今、否定されたら僕は笑う事すら忘れてしまいそうだから。
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