罅割れた翡翠の映す影
目次過去は過去過去なのに未来


2001年12月10日(月) 夢 缶太郎

夢。
二種類の意味が少なくともある。

一つ。
主として睡眠中に見るもの。

一つ。
人生に於いての希望とかもろもろ。

前者について、僕は殆ど見ない。
いや、見ても忘れてるのかもしれない。
見たとして、それはあまりにも現実離れしていて、荒唐無稽で。
何時の間にか其処に居て、不可解な理由が其処に在って。
その不可解な理由故に追われ(必ず追われている)、唐突に終わる。
性描写にしても残虐シーンにしても24禁(飽くまで目安)状態。
当り前に人間が死んでいく。
目まぐるしく変わっていく景色、やたら疾走感溢れる移動。
声が耳ではなく脳に響き、リアルな感触がダイレクトに伝わる。
意味の無い破壊がまんべんなく振り撒かれ、
思い出せない顔の人間が沢山居る中に炸裂する。
そんな中を殺しながら、追われながら…。

…僕たちの押し殺されてる誰かの願望なのかもしれない。
少なくとも黒は、そういう状況を好む傾向が在ったように思える。


後者。
僕は夢を持っていないのかも知れない。
何かをして、社会的に成功を収める、そういう願望が無い。
ただ、毎日を何とか生きていく。
そういう意味では、僕もただ機械的に生きているに過ぎない。

久しぶりに昔のバイトの同僚に会った。
少し痩せて頬がこけていたけれど、今はバーテンをしていると笑った。
沢山のカクテルを覚えて、修行をして、自分の店を持つんだと語った。
無理をしていはしたけれど、なんか輝いて見えた。
正直、とても羨ましかった。

僕は今、黒がなろうとした道をなぞっているだけだ。
なんで黒が理容師なんかになろうとしたかは解らない。
僕自身、この仕事があまり向いてるとも思えなくなってはいる。
なのに、僕は惰性でこの仕事を続けてる。
自分のなりたいモノが見付からないから?

だから、ずっと人間を見てきた。
なりたいモノを見付けたかった。
いろんな人間が、いろんな考えを持っていた。
…僕の考えは?
どんな考えを持っている?

自分が酷く薄っぺらなモノだって痛感した。
薄っぺらな、その場その場の望みしか持ってない。
本気で手に入れようとするモノが無い。
本気で手に入れようとしていない。
欲が、無い。
簡単に手放してしまう。

欲しいモノが無いわけじゃない。
なのに、そのために狂いきれない。
狂うなら、手放してしまう。

僕らは、狂いたいのかな?
この上でまだ狂い足りないっていうのかな?


Jade |MAILBBS

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