J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2005年01月28日(金)    歩くふたりの距離は腕触れ合うくらい

J (3.秘密の恋愛)

9. これからのこと (14)


私は次の言葉を考えながらレイを見る。
ですが、レイは私の言葉を遮るようにして言いました。

「でも、は、もう、、いいです、工藤さん。」
「?」
「工藤さんの言うこと、わかってる。
 きっと、いつもと同じこと。」
「どういうこと?」
「きっと、これから始まる運命などない、そういう話。」

私は図星をつかれたように言葉を失う。

「だったら、、もういいです。私はさっきの工藤さんの言葉だけで、
 もう思い残すことはありません。」
「思い残すことはない、って?」
「父の望み通り、会社を辞めて実家に帰る。」
「う、、ん、、。」

そんなふうにはっきり言われてしまうと。。
なんだか、。。
とても寂しい気持ちになってしまう、じゃんか。。

だが、ここは耐えなきゃなるまいて。

「そっか。そうだね。それがいいね。。」
私はそう言って。
そして、「じゃ、帰ろう、」と駅に向かって歩き出す。

レイは。
「はい。」と言って私に従う。


往来には酔客がたくさん行き交っていました。
黙って歩くふたりの距離は腕触れ合うくらいでした。

・・

何か、何か話さなくちゃ。

何かって、何?
仕事の話?
、、そんなんじゃない。

何か話したい、
その何か、が、何かわかるまで、
もう少し、レイと話したい。

このままで、、
このまま終わっていいのか、俺?


  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)