J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年04月21日(水)    いいから車に乗れ。話は車の中で聞く。

6. 個人的な話 (10)


私は車のエンジンをかけレイを待つ。
時計を見ると7時半を過ぎていました。

(高速をぶっ飛ばせば2時間で着くな。)

少ししてレイが出てきて車の脇に立って言う。
「工藤さん、やっぱりいいです、」
「何で?」
「何でって、急に帰ったらびっくりするもん、」
私はレイの腕を掴み厳しく言う。
「いいから車に乗れ。話は車の中で聞く。」

きつい口調の私に圧倒されてレイは「はい、」と言い車に乗りました。

乗った途端、車を走らせる私。
行き先はレイのアパート。

「あ、駅じゃないんですか。」
「いや、君のアパートに行こう、電車に乗るより早い。」
「すみません。」

「でだ、そのあと君の実家まで送るよ。」
「ええっ!」
「電車に乗って行ったら夜中になってしまうだろ。バスだってないだろうし。
 タクシー拾うったって、時間も金ももったいない。だから送ってやる。」
「そんな、それじゃ、工藤さんが大変過ぎます。」
「いいから、オレの好きに任せて。他ならぬ君のことだ。気にするな。」


こんな時にこんな事ぐらいしかできんが。
こんな時ぐらいは俺にやらせてくれ。
俺のできることを。

私はそう思っていたのです。

・・

レイのアパートに着いて。
すぐにレイは着替えて準備をし。
再び車中のふたり。
車は高速に入り猛スピードで飛ばす。

「そう言えば、レイちゃん、用事って何だったの?大丈夫?」

あっけにとられた様なレイの表情。
そしてくすっと笑って少し張り詰めた糸が解けて。

「もー、いいです、」
「いいです、って、デートじゃなかったのか?」
「違いますって、今夜は好きなTVドラマがあったの。それだけです。」
「TVドラマ!?」
「そうです、ビデオ、セットしてきたから、もういいもん。」

レイはぷくっとした表情を見せました。
が、目は笑っていました。

私は。
私は正直とってもうれしかった。

デートじゃなかったんだ、というだけで。

単純な私でした。


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