J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年05月24日(土)    切迫流産!なんじゃそりゃ!

J (2.結婚)

9. 切迫流産 (18)


しばらくして。

友美さんが診察室から。

出てきました。



「、、、トモミさん?、どうだった?」

友美さんは私の顔を見るなり涙顔になりました。
が、すぐにキッと堪えた表情をして私に伝えました。

「、、、切迫流産、だって。」

、、、切迫流産!なんじゃそりゃ!


私の頭は混乱しました。
なにしろ切迫流産なんて言葉、初めて聞いたのです。
ただ真っ直ぐに男として生きてきた私には縁がない言葉だった、、、

「そ、そ、それはもう駄目ってことか?」
「、、、」
「おい、トモミさん、どういうことなんだよ、」
「、、、流産になりかけている、ってこと、」

、、、流産になりかけている!


私は愕然として取り乱しました。
もうこの世の終わりかというばかりに。

「にゅ、入院、、し、しりつすんのか、しゅ、手術、」
「ううん、入院するほどじゃないの、」

、、、なんで!なんで入院しない!流産しそうなんだろ!


私は全く無知でした。
友美さんの一言一言を食い入るように聞き、
その都度頭があっちへこっちへ飛んでまとまりがありませんでした。


「どういうこと?、よく分からないよ、君の言っていること、」
「ちょっと出血していて、それだけ、」
「それだけ?」
「うん。一週間か10日、安静にしていなさいって、」
「安静?、安静にしていたら?」
「、、、大丈夫かも、」
「かも?」
「、、、うん、×××



そこまで話して友美さんは泣きました。
随分と辛かったのだろうと思います。
私に伝えることは伝え、そして泣く。

おろおろした私に比べ友美さんはりっぱだったと思います、、、。


私は、

私はただ、

溶けたアイスを持っていたにすぎませんでした、、、。



(9.切迫流産、の項 終わり)



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