アンタの事なんて何一つ覚えてないんだ。癖も仕草も笑顔も体温も。食べ物の好みさえも思い出せない。嗚呼でも、アンタが名前を呼ぶ声だけは、消えなくて。それが時折俺を悩ませる。「 」幻聴のような声がして、俺はまたアンタの事を溢れるように思い出して、そうしてまた馬鹿みたいに泣きたくなって、呪うように呟くんだ。愛してる。愛してる愛してる愛してる。涙なんて出やしないのに。