Christmas Seed
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2001年11月07日(水) Xmasを楽しむために(2) 「クリスマスに少女は還る」

■「クリスマスに少女は還る」
  著者:キャロル・オコンネル / 出版社:創元推理文庫

原題:"JUDAS CHILD "
本文が623Pに、本文中に出てくるホラー映画の注が5P。
読み応え十分、一度目は一気に。
二度目は、丹念に隅々までじっくりと読みたくなる。
一言でいえば、誘拐された少女達とかつて妹を誘拐され、
殺害された刑事の物語。

私は先に解説を読む癖がある。
読まないこともあるが、読むことも多い。
解説には、題がつけられ、
「先にお読みください。」という一文もあった。
最初の方には、amazon.comでも五つ星の本だと
当り障りの無いことが書いてあった。
しかし、読み進めて、しまったと思った。
いろんな予断をもってしまう情報。
筆者も蛇足と書いてあるが、ほんとに蛇足の一文。
解説というもののあり方に、疑問をおぼえる。
訳者の解説ならともかく、
(有名かもしれないが)誰とも知れぬ人の解説。
「解説」ではなく、ついつい予断を持ち、
読み終わった後、いやな読後感を感じる「題」がついている。
そして、原題「JUDAS CHILD」の説明。
「囮の子」だそうだ。
けれど、もちろん、
日本語題が「クリスマス・・・・」となっているように、
クリスマスが、というより、キリスト教といってしまうと
大げさかもしれないが、キリスト教的な含みもある。
あえて、もうひとつの意味を隠しているのかもしれないが、
キリスト教圏なら当然「JUDAS」の意味に思い当たるだろう。
もちろん、それは、「ユダ」。
原題では明らかにされていたカードが伏せられ、
伏せられるべきカードが解説で表向けられる故意。
(具体的に書くと、結局、予断を持たせてしまうので、
何に納得いかなかったのか、書きようが無いのが残念なところだが。)
一気にのめりこんで読み、満足感も大きかっただけに、
解説というのはいったい何なのだろうと、考え込んでしまった。
解説以外(少なくとも、先に読まない方が良いのではないかと思う。)
はおすすめの一冊。

クリスマスシーズン向きのミステリです。 (シィアル)


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