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2007年11月30日(金) ゆりかもめ

仕事(おさぼりサラリーマン)で東京ビッグサイトに行く。帰り道は国際展示場から新橋まで、生まれて初めてゆりかもめに乗った。土を盛ってつくられた寂しい島が、曇天の下で夕暮れを待っていた。高層マンションには灯がともり始め、その対岸ではコンテナと重機のライトが、赤く光った。マンションの間から、東京タワーが見えた。

誰が何を考えて、この土地を作り出したのかを、私は知らない。ベイサイドがなんだ、夜景がなんだ、高層がなんだ、鳥じゃあるまいし。と、思う。ビルの谷間に現れる小学校の、緑の校庭が悲しい。サッカーをする男子が見えた。

上から眺めると、グレーの空を背景にした人工物たちには無機質を通り越した美しさがあった。水が、そのわざとらしさをうまく何かに変換しているようだった。

汐留の通信社の、巨大ビルが見える。遠くにいる友人のことを思い出す。

君の仕事の日記を読めなくなるのは悲しいけれど、これからも遠いところで同じような一日を送っている人の記録を読めるならそれでいい。それが事件や事故の話でなくても。家の中にも事件はある。それを知っている人だ。彼女が仕事を辞めるのに、私はなぜ仕事を辞めないのだろう。自分勝手に愚問を繰り返しては引っ込め、“日本のマスコミ”に彼女がいたことを感謝する。新聞記事から見えてくるものと、今日の夕食の肉豆腐から見えてくるもの。違うように見えるけれど手触りさえ忘れなければきっと同じだ。自分に言い聞かせるように、須賀敦子全集のページを繰る。ふたりの姿が、なぜか重なる。


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