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2004年03月21日(日) 優しい

■The hotel upstires

お気に入りの写真集を見つけた。藤部 明子『The hotel upstairs―サンフランシスコレジデンシャルホテルの人々』ストュディオ・パラボリカ)。いいよ。

サンフランシスコにある「コロンバス・ホテル」の住人とその部屋=生活を撮ったものだが、ここでいう「ホテル」は、日本のような旅行者向けのではない、長期滞在者向けのそれを指す。コロンバスは、中でも一番安い格付けに入るそうだ。アメリカでこのランクのレジデンシャルホテルに住むのは、「都市の遊牧民」を好んで選び取る人や、結局はほかに行き場のない人。口ではどこだって行けるから、と言っていても後者である人も多いという、追い出されたら、ホームレスになってしまう人々だ。

この本を手に取ったきっかけは、都築響一が書いていたオビの言葉だった。

「たくさん集まるとあんなにひどいのに、ひとりひとりだとどうしてこんなに優しいんだろう。アメリカ人って不思議だ」。

今、内容を読み終えて考えてみると、被写体の人々を「優しい」と表現した都築氏の、言葉選びの才能に感服させられる。そして、改めて好きだと思う、そういう感性のある人を。

写真の中に、「優しい」エピソードなんて一つも出てこない。写真家との心の交流がどうとか、うるるん的趣旨の作品集ではないし、(たまたま同じ日に買った)ku:nelが誌上で実現している手作りの生活や、ゆっくりと楽しむお茶の時間は、あまり見えない。彼らは人生に直面している。ここを失ったら、行くところがないからだ。

自称アーティストの物売り女、引き籠もりの元ミュージシャン、市内のスープ・キッチンを廻って日々を過ごすゲイの老人、共産主義者の詩人、エトセトラエトセトラ……彼らの部屋を見て、写真家は当惑したという。「比較してみると自分自身の部屋の何と淡泊なことか。家を背負って移動するヤドカリを彷彿させる住人と彼らの部屋、その中に詰まっている彼らの所有物」。

私が抱いた感想は、全く逆のものだった。

散らかっててものが一杯でそれらひとつひとつに住人の個性がいやってほど表れていて、不衛生で匂いがこもりがちで、片づけもせずにベッドに寝そべって窓の外を眺めることしかできない。日当たりも悪くて鬱屈してくる。本とかCDとか好きなものばかり集めていて、なんだかんだと色々うまくやれないからお酒をよく飲んで、空き缶がそこら中に転がって洗濯物もろくにたたまないから足の踏み場もない。汚くてベッドの上ぐらいしか座れないから嫌になるよ。どうにかしなよ。

あ、あの子のの部屋に似てる。

弱くてどうしようもなくて、でも、「優しい」。都築響一にオビのコメントを頼んだ編集者は、きっと『TOKYO STYLE』を連想したに違いない。アメリカ合衆国が抱え込んだ都市居住者の問題、人種の問題、「気付かれない存在」である彼ら(レジデンシャルホテルの住人)が背負う複雑な背景を、私は実感として理解できなかった。しかし東京の1Kだか1DKだかにちまちまと住む貧乏な根無し草たちの、どこにも行けないせっぱ詰まったうだうだや、金曜の夜の、コンビニで買った缶ビール一杯のうまさなら、よく知っていた。

表紙の写真や全体的なデザインをぱらぱら見た時は、ku:nelとかの読者っぽい人に売ろうとしている「クールでおしゃれ(byアマゾン)」な本なのかな、と思ったが、全く違う。

思い浮かんだのが、昔の『ロッキング・オンジャパン』(まだジャパンの編集長が彼だったころ)の「激刊!山崎」で山崎洋一郎が書いていた記事のことだった。たしかではないが、5・6年ほど前だったと思う。「私は持ち家ではなく賃貸派である、なぜならジャーナリストだからだ。ジャーナリストは自由たるべきで、そのために俺はひとところに落ち着いたりはしない」。うっわー、かっこいい山崎さん!生き方もロックだ!すげえ!と思った。自分の好きなことを書き、問題になって今の職を追われるようなことがあっても、風呂なしの四畳半でやっていきゃあいいだろうという彼の男らしい決意に、高校生の私は萌えたのだった。

山崎さんあれからさすがに引っ越しただろうな、ベンツとか乗ってるのかなあ、家も買ったかな。あーあ、まあいいか。



■決意




髪の毛を切ろうと思います。ついに決めた。髪の毛が長いと変な服着ててもインパクト出るかなーとためらっていたのですが飽きました。もう全て、普通でいいです。普通の服と、普通の髪型と、普通の部屋と、普通のご飯があれば。それだけするのにもだいぶお金がかかるしね。

などとのたまっていながら、ショートカットというと緒川たまきさんが憧れです。頭をかち割られそうですが、チエコに相談したら「似合いそう!」と言ってくれた……ありがとう、希望は捨てない。今回はばっさり切るのでどういうのが似合いそうとか、意見があったら教えてください。



■やっと




町田先生の新刊『パンク侍、斬られて候』(マガジンハウス)が出た。なんてふざけたタイトル。明日眼科に行くついでに買ってこよう。またサイン会などあればいいが。


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