家族進化論
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2022年07月11日(月) 息絶えるまで駆けてみよう

ロッドマン 一番の違いは、フィジカルだ。あのころは、バスケットの本質がより問われていた時代だった。相手との身体のぶつかり合いの中で、俺の闘争心も強くなっていった。押す、ぶつかる……、その痛みと苦痛が、俺の仕事だと強く思えた。
――あなたの奇抜な髪型や言動は、常に注目を浴びました。しかし、一度コートに立てば、リバウンド、ディフェンスというダーティーワークをいとわなかったのはなぜですか?
ロッドマン ダーティーワーク? 仕事に奇麗も、汚いもない。あるのは、与えられた仕事をやるか、やらないかだけだ。俺はスラムで生まれ、ガキのころから働いてきた。修理工場でオイルにまみれ、エンジンを直した。農場で3年間、働いたこともある。どんなに寒くても朝5時半には起床し、牛にエサをやった。エンジンが動くようになること、牛がちゃんと育つこと――そこに達成感を感じたし、誇りだった。ヘッドコーチに、「リバウンドを取ってこい!」と言われたから、相手が大きかろうが、強かろうが、己の仕事をこなしただけだ。
――なるほど。
ロッドマン 与えられた仕事を懸命にやる。そして報酬を手にする。しかも、棚ぼたでもらった仕事ではない。自力で掴んだ仕事だ。命がけでやらずしてどうする? レブロン、(デリック・)ローズ、(ケビン・)デュラント、今のNBAにも才能あふれる素晴らしい選手はいる。だが、多くの若い選手は勘違いしているんじゃないか? 才能はあっても、富や名声に心を奪われがちだ。大型契約を結んだ直後、活躍できなくなる選手が多いのが、残念でならない。ファンは、ちゃんと仕事をするアスリートが好きだろう? 選手は富や名声のためじゃなく、やるべき仕事をするべきだ。
――つまり、やるべき仕事をする選手が集まったから、あのころのブルズは強かったということですか?
ロッドマン まさに、そうだ。マイケルやピッペンだけじゃない。スティーブ(・カー)、ルーク(・ロングリー)、誰もがあのチームでプレイするのが好きだった。彼らや俺は、たいしたキャリアもなければ、大学時代、スター選手でもなかった。だが、自分を信じ、役割を見つけ、それを徹底した。そして生まれたのが、あのチームだ。もはや何物にも代えがたい。


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