きまぐれがき
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2006年11月01日(水) 郷愁。。。

以前、ひょいと我が家の庭を覗き込んだお隣のお爺さんは
「ろくな木がない。。」とつぶやいて帰って行った。

子供の頃に住んでいた西荻には、雑木林が何箇所もあった。
道の両側に並ぶ地元の農家のけやきはどれも巨大で、覆い
かぶさるように枝葉のトンネルをつくっていた。
そこは昼でも暗く、風に揺れてすれる葉の音が怖くて一人で
は通ることができなかった。
一本杉の丘に登って周りを見渡すと、まだまだ武蔵野の面影
を色濃く残す景色が広がっていた。

雑木林の中に建つ三角屋根の家。
屋根裏部屋らしい窓の鎧戸が時々開いていて、オレンジ色の
灯りがぼんやりとともっていた。
あのガラスのランタンはアールヌーボー調だったと、今だから
わかることだ。
秋、散り落ちた雑木の木の葉をガサゴソとふみしめて歩く門
からのアプローチ。
空にはジーキィジーキィと鳴く鳥が飛んでいた。
善福寺池の傍にこの家はたしかにあった。

場所は違っても、子供の頃に見たあの家を再現したい。
と思ったところで、あれは広い敷地があってこそなのだと諦め
ざるを得なくて、家を建てた時に数本の雑木だけを植えたのだ。
雑木の庭なのだから、ろくな木はないのよ。お隣のおじいちゃま。

それでも、年に2回は植木屋さんに整えてもらう。
今日繁った枝葉の中からの見つけ物はまたまた鳥の巣、几帳面
に作られているので鳩の巣ではなさそうだ。それと蜂の巣。

 

鳥の巣を取り払うことに胸が痛まないではないけれど、いつの
間にか我が家の庭を繁殖場とした鳩たちには困ってしまったの
で、卵を産まないうちにこの巣はなかったことにしてもらいたい。

  





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