きまぐれがき
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2004年10月31日(日) ブラームスはお好き?

自分よりもかなり年下の青年に恋をしてしまったY子ちゃんに、
この間亡くなったサガンの「ブラームスはお好き」などを薦めて
しまって酷だったかしら?

Y子ちゃんだって人の妻なのだ。いずれ夫と青年のどちらかとは
別れなければならないだろうし、もしかしたらどちらとも別れて
しまうことにも、なんてことになったらと、成り行きを見守っている
つもりの私の心中だって穏やかではない。

しかし私も、またやけに古い時代の恋のもつれ模様を描いた作品
を思い出したものだこと。
この「ブラームスはお好き」は本で読んだだけではなく「さよならを
もう一度」のタイトルで映画化されたものも、学生時代に名画座の
ようなところのリバイバル作品2本立てで見ているはずだ。

デザイナーとして自立し、恋人はいるけれどちょっとしっくりいって
なさそうな女性を演じているのがイングりット・バーグマン。
その女性に夢中になってしまう15歳年下の青年が、小森のおばち
ゃまが大好きだったアンソニー・パーキンスで、それはそれは「僕
の瞳には君しか映らない」と言わんばかりの一途さで恋心をつのら
せていくのだからたまらない。
こんなに焦がれられたひには、女心は揺れて当然。。。。。
それなのに、この状況と同じようなY子ちゃんに、私は「揺れるな!」
と言ってばかりだ。

揺れてしまったイングりット・バーグマンが終幕ちかくに、階段の手
すりにもたれ青年に向かって叫んだ一言は、まだ二十歳にもなら
なかった私には、妙に納得のゆくものだった。
はっきりとは覚えていないけれど、「私はもう若くはないのよ」といっ
たような、いやもっと辛辣で悲痛な台詞だったかもしれない。
イングりット・バーグマンの役は確か40歳前後だった。

この場面に流れてきたブラームスの交響曲には涙ぐんでも
「そう、もう40はオバサンね。別れざるを得ないのだなあ」
平気でそう思ったのだから、なんて残酷だったのだろう。

年齢が恋愛の妨げ?なにを!と今なら怒る。
だからY子ちゃんが年齢差を気にしているとしたら憤慨だ。
じゃあ何故この作品を薦めたのだろう。。。。。。

恋する男女の複雑に絡み合う心模様を、サガンが繊細に描いている
からだろうか?
Y子ちゃんがいずれ、どのようにか「選択」というものをしなくてはなら
ない時のためにだろうか?
この映画のイングりット・バーグマンが一番好きだからかなあ;;

どうせどうせ当のY子ちゃんは、サガンの本のことも、イングりット・
バーグマンの映画のことも、忘れているに違いないのだけれど。


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