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2008年06月12日(木) 一焚き十台 2/2



 一人の消防が小さい声で言った。
「焚き火するようでしたら、電話なり、事前にお知らせください。」警察には誓約書かされたが、誓いは立てても、実行するかどうかは別だから、これからは消防署に連絡してからにする。今度は、たき火ではなく薫製すると言うことで。薫製は煙でする物だから煙は出る。燃す材料は木の葉。
この一言でずいぶん気が楽になった。まともな人も居る事が解ったからだ。

 ところで、切った木の枝、葉などは以後どうするのかと聞いたら、ゴミ袋に入れてゴミとして出せという。葉っぱを袋に入れるとものすごい量になる。中でぶわっとふくらむからだ。
今、京都中の寺や神社がこれをやっている筈だ。わざわざゴミ袋に入れて、大の男が集めて、トラック使って焼却炉に運ぶ。その度トラックからはCOが空中に飛散し、おっさんらの吐いた労働中のCO2二酸化炭素も飛散する。
 家で燃すとダイオキシンが出るという。近年の研究で、ダイオキシン(ダイオキシンは種類だけでも80種位ある)は無害ではないが、人体に影響を与えるほどの物ではないと結論が出ている。
 京都は昔から寺社だらけだから、枯葉や小枝の灰に害があったとしたら、とっくに古都京都は滅んでいる。大文字の送り火はどうや?。農地にも撒いてたし、外国では、焼き畑農法がある。ここで奇病発生引きも切らず何て言うニュース聞いたこと無い。(ベトナムの奇形は枯れ葉剤によるというよりも当地域に多く見られる風土病で昔から出現している)
このたき火禁止で困惑している寺社の気持ちがよく分かる。

 考えてみれば、リサイクルなど殆ど個人でやれる事を公でやって、返って環境を悪化させている。以前スーパーで買ったものは白いビニール袋に入れてもらって家に帰っていた。ところが、環境を考えてかどうか、自前の袋を持って買いにこいという運動がはじまった。暫く、よかれと思い実行していたが、はたとゴミを出す時の袋が無い事に気がついた。
それまではスーパーの袋に入れて捨てて事足りて居た。ところが申し合わせたように、これに入れて捨てなさいというゴミ専用の袋が売りに出され、あっという間に条例で指定の袋を使えと決まった。
 捨てるだけのために作られたゴミ袋を買い、それにいれてゴミを捨てる。おまけに、経済面から言っているのか、環境面から言っているのか、再利用のため分別せいという。

 もし分別しなかったら、無分別ゴミ→燃えるゴミ・燃えないゴミ分別→埋め立て地・焼却炉で済むところ、分別したら、ゴミ→リサイクル用ゴミ集荷場・燃えないゴミ・焼却ゴミ→埋め立て地・焼却炉・保管所と三方向へ向かう。
さらに保管所から再利用加工場、其処から出たゴミ→燃えるゴミ・燃えないゴミ分別→埋め立て地・焼却炉と繰り返す事になる。
リサイクルには運搬トラック、その運転手、燃料がいる。倉庫の管理費はどうする。リサイクルのための工場施設の費用は。
多大な運搬のための燃料代、倉庫代、光熱費で、エネルギーを使い、あげく全部がリサイクルされるわけではない(ビールの空き缶、蓋部分と胴体を分けなければ使えない。組成が違うため)から、一部を除いて、リサイクル工場からは、本来家庭から出たゴミなのだが、名称が変り産業廃棄物として、新たなゴミがでる。これは名こそ違へ、同じ家庭からのゴミである。
 何十にも手間ひまかけて遠回りして結局は燃す。だが、リサイクルプラスチックなどは、回収してみたものの、最利用不可能だから、細かいチップにして、製鉄所で石炭の代わりに燃している。石炭を使えば、炭素キログラムあたり約五円ですむ製鉄に、平均キログラムあたり二五〇円をかけて使うような事をやっている。人間は、良い事していると思っている時程明き盲になる。
 先進国と言われている、ヨーロッパのリサイクル率は数パーセント、リサイクルに五月蠅いのは世界中でドイツと日本だけ。日本の場合、危険な循環型リサイクルである。

 環境もしくは、経済面においても、*庭の枯れ葉は、自分で燃すのが、一番環境にいいのだ。焼却は、燃すまでの距離が短いほど、環境にいい。

*庭の枯れ葉…木はもともと生態系の一員で、燃やしてもCOは炭酸同化(光合成)で元に戻るから、環境にさほどの問題はない。

循環型リサイクル…ペットボトルをリサイクルしたらどうなるか。みんなが必ず正しく使って戻すとは限らない。中にはガソリンを入れたり、農家では溶かした農薬を入れたりしていたかも知れない。これらの未知のものが分別ゴミとしてあつめられ、リサイクルで又、ペットボトルに整形されて、出回るとする。固形のボトルに染みこんだそれら有害物質の有無を検査で見いだすのは、まだ液体なら検査できるが、固形は不可能である。簡単な洗浄は可能だが、毒物特定洗浄は不可能。
かくて、そのまま、成形再製品化される。それがまたリサイクルで集められ、例えば最初10本に一本の率で有害物質が入っていたボトルは、そのまままた新たに有害物質を含んだボトルと混ぜ合わされ、より有毒なペットボトルが誕生する。循環型リサイクルで行くとこれが無限に繰り返され、気がつくと猛毒のボトルに入った天然水を飲む羽目になるおそれがある。原因不明の病気が出てくる可能性がある。リサイクルは環境の悪化を促進する。


参考文献

「ダイオキシン情報の虚構」林俊郎 健友館
「リサイクル汚染列島」武田邦彦 青春出版
「分離の仕組み」武田邦彦    共立出版










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