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2005年05月25日(水) 1997



 1997年に醸造し樽詰めして,一年寝かせて瓶詰めしコルクを打って寝かせておいた、カベルネ・ソービィニョン60%,メルロー40%の赤ワインをあけてみた。醸造後,三年経った頃あけた時は心底がっかりした。
全然うまくなかった。リンゴ酸の香りが強く,やっぱり置けばいいというものではない,寝かせておく価値の有るワインではなかったのだと,どうにもならず,一口飲んで あけた残りは捨ててしまった。

 ところが,これが七年経って蘇った。美味い! ボルドーのVdP(Vin de pays ヴァン・ド・ペイ)クラスぐらいの味わいは有る。よく一般的には駄ワインは置いても駄目だと言われる。が,実際に七年置いてみた(温度は15 ℃位にて)ら,ちゃんと飲めるワインになっていた。なんでも頭だけで理解して済ませずに,実際にやってみることが大事だとあらためて思った。

感慨に耽っていたら,パリのミシュラン三つ星(よく混同されて五つ星と書かれているのを見るが,レストラン味の格付けの最高位は三つアステリスクで***と表記される。五つと勘違いされているのは,豪華さの五つフォークナイフマークを間違えたのだろう)有名レストラン「ルカ・カルトン」のオーナー兼シェフ, アラン・サンドランスが、同店をより低価格で気楽なブラッスリー(カフェレストラン)に 改造するというニュースを聞いた。
毎年のミシュランの格付けに、ほとほと疲れてしまったらしい。
これで,一・二年前も自殺者を出しているくらいだから,その心労は相当なものなのだろう。
 80年代中頃,「ルカ・カルトン」で夕飯を食べた。新婚旅行を兼ねて3〜4ヶ月ヨーロッパを巡っていたときの事。金はなかった。金はなくても一流店で食べる手だては有る。日本でやると,「一杯のかけそば」になってしまうが,フランスではごく普通に注文できる。値段は半分で済む。ようするに,一人前を二人で食べるのだ。今はそうでもないが,日本人の感覚からすると,あっと驚く量が出てくる。例えば皿にとり丸まる一羽とか。
この時も,リ・ド・ヴォが一人前が一個(一頭分)だった。
二分の一フルコースでちょうど良かった。
ギャルソン(ウエイター)が,両後ろ,あっちこっちに,うじゃうじゃ二十数人はいて,それぞれが,どこかのモデル雑誌から抜け出てきたような男たちばかりだった。場慣れしていないと気後れして,味わうどころではない。
もう以前ほど,一流と言われる店には興味がなくなり,地方料理店や,大人数がわぁわぁ言いながら集って晩餐しているところ,たとへば,世界で初めてのレストランと言われているプロコープなどで,大勢の中(50人~100人くらい)に埋もれて食べるのが心地よく感じられるようになった。

* 胸腺肉。 仔牛や仔羊だけにある、非常に柔らかく淡白な部位。ris de veau














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