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2002年12月09日(月) 食べて極楽、見て地獄 -上-



 今回の旅は最初から不運続きで、ことごとくがうまく行かなかった。日本が大変な時に旅行なんぞして罰が当たったのかも知れない。
出発前夜に確かめて置いた山用のがっちりした高度計・気圧計・電磁方位計のついた、旅には絶対必要な時計の太いベルトが、空港の待合いで突然切れた!
おおよそ切れるようなやわなものではない。幅は2.5cmある。それが突然切れた。合成樹脂製のもので購入してから5.6年経っている。
「験(げん)が悪い」
それから起こったことごとくが、予定外のことであった。早い時間に空港に着いていたが、大型カメラの三脚が、チェックイン時には通ったのに、機内持ち込み検査時に引っかかり、最後の客になってしまい、係員同志が揉めたあげく、ようやく荷物扱いになった時間にはもう搭乗ぎりぎりで、おもいきり搭乗口まで二人して走らされた。これがケチの付き始め。
 巴里でマルセイユ行きに乗り換えた。この時巴里の夜景は本当に綺麗だったのだが、夜九時にマルセイユに着いたときにはそぼ降る雨、強い風をともなった中でレンタカーを駆って目的地に着くのに小一時間を要した。以後天候不順が続くことになる。何のために行ったのか全然分からない。予約せずとも借りられた筈のジットは満杯。仕方なくホテル暮らしとなる。

 晴れた日はわずかに一日、後はほとんど曇天か時雨。スペインに低気圧が停滞、とのニュース。この地域には非常にめずらしい異常気象だそうであった。そういえばついこの間も、アビニョン近くの村が洪水になって村が流されたと、BSニュースのフランス2で言っていた。今回の滞在中いつもの写真の撮影数のほぼ三分の一、それも一日だけの限られた日だけで、この旅は半ば失敗であった。後に切れた反対側のベルトも切れてしまった。

 それでも最後の巴里の美味い晩飯を期待して、マルセイユ空港を後にして巴里に入った。
ところが、日本で手配して支払いも済ませてあったさるホテルについてみると、キャンセルされていたというよりも、二台のコンピュータがクラッシュしてデータが消えてしまったとの事(ンなあほな!)、担当のお姉さんは平謝り、クレーム・ド・ミュールの小瓶をプレゼントしてくれ、ホテルロビーのカウンターバーから飲み物を出してくれて、その間に換わりのホテルとタクシーを手配はしてくれた。もちろん全部ホテル持ちである。

 この日はレストラン・アルページュに、八時から予約を入れてある。もう五時近く、これから急いで風呂に入り支度を整えジャケットに着替えて用意をしないといけない。雨が再び降り始め、雨期鬱症の身としては、はなはだ不愉快である。手配されたホテルはさすがに格落ちの感がして、頼んだタクシーの手配もようしないようで、ついに歩いて行くことになった。この時不愉快指数は100%になっていた。
 幸いこの界隈は学校に通っていたとき、アパートがあった近くだったので、土地勘があり雨の中をひたすら磁石とミシュランの地図を頼りに歩き、数十分遅れてようやく目的のレストランにたどり着いた。










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