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2002年01月10日(木) 悪党は静かに微笑む



本当の悪党はだれか?
 先頃新聞に「ハンセン病患者、国と和解」の記事が出ていた。何が和解なのかどうもよくわからなかったが、調べていく内になんだか変な事が分かってきた。ハンセン病は昔、癩(らい)病と言った。昔言って今言わないのは、変な言葉狩りのせいである。アメリカは昔、黒人をニガーと言ってはいけない、ニグロと呼びなさいと言い、やがてそれでもいけないからカラード・ピープルに変え、アフロアメリカンもしくはアフリカンアメリカンとなってきりがない類のもので、問題は言葉自体にあるのではないことに気がつかないからこういうことになる。
 癩について、朝日新聞などはナチスのアウシュビッツの強制連行に例えて報道していた。それで、あまりに国が悪いことを患者にして、その患者が訴えて、国は上訴しないで和解したというのだ。
ここで裁判で「和解」というのはどういうことか。これは、裁判所の思考停止状態をいいます。ようするにこう言う事です。
「あなたが言う賠償額8万円は出せないが Aさんは5万円出すと言っている。もし争うなら、通例のように裁判はながびくよ、裁判費用もかさむ、これで手を打ってはどうか?」

そうして手を打つのが「和解」と言うことで、審議を尽くして手を打つのではない。
 癩病は、関節がふくらんだり、鼻が溶けてなくなったりして容貌が著しく醜くなり、その昔ひどい差別をされたらしい。働くことも出来ないから、家族にも見放され、今で言うホームレスになってさまよった。それではいけないというので、初めて公的に隔離することになった。ロシアの皇太子アレクセイの訪日をきっかけに、1872(明治5)年、政府は、町にあふれる浮浪者を一掃するため、本郷の旧加賀邸に約200人を収容する。
このような時代背景を経て、ライ予防法が施行され、患者が収容されなかったら、おそらく皆、生きてゆくことは出来なかったろう。
 ここで、注意して欲しいのは、加賀邸に収容していることで、特別な場所にではなく、一般の乞食ともども収容しているということだ。どこの国も、来賓に対して不快な思いはさせたくないと思うことは同じだろう。
だけれど、訴えた人達はこれを迫害と受け取るのだ。

 今は、薬で完全に治癒する。それに伝染性も微弱で、よっぽどの深い粘膜接触がないかぎり心配ない。
この度、「らい予防法」の不当で訴えた全生園という施設のA さんはなにが不満だったんだろう。ここで、当時法に基づいて、収容された、もしくはされている人々の待遇はどんなものか見てみると、患者さんたちは、裕福な人が多く、例えば、いつも海外(英、仏、伊)一などの巡礼を共にしていたM氏などは、傷療軍人手当てが、年六百万円もつき,その他全患者は衣食住(全貝個室)が全額無料の上、障害者手当てが月十数万円もつく。医療費は無論全額無料で不自由者には一人宛二十四時問、介護員がつくし、医者や看護婦は、もともと奉仕でこの道を選んできた人が多いので、ケアはいたれりつくせり。 
ということだ。
どこへ行くのも自由で、外出外泊は勿論、毎年海外旅行に行く人もすくなくない。前記の A氏の如きは、園の外にマンションを持ち、外での生活がゆきづまって金がなくなると、また、園に戻ってくるというくりかえしで、優雅な生活を送っているらしい。
裁判を起こしたA氏を先頭にする人たちは、全体の一割にもみたない少数者で残りの九割は、反対だった。

 ところが、お金がからんできてから、今まで神様のように褒めていた医者たちを、ヤブとののしり、園の生活を自由を奪って拘禁する人権躁躍だ、とまでいうようになってしまった、これを新聞が煽る。ついには、患者自治会の圧力に屈して、患者側の証人として「ライ予防法はまちがいだった」と証言する職員まで現れるにいたったというのが真相であるらしい。いった本人は関係者に非公式に謝罪しているがそんなもの、新聞は載せない。

 朝日のアウシュビッツの例えはとにかく確信犯的にひどい。妊娠中絶させたり、断種させたり「強制による人権侵害だ」と書いた。
が、患者自身達の発行する自治会報「全患ニュース」には、出産によって発病あるいは病勢の進行を来したと思われる者は七四・三%にのぼる、と書かれている。約七割である。これを見てもなおかつ生みたいと願うものがいるのかどうか、それを朝日は強制だと書く。アウシュビッツが出たついでに書いておくと、ナチスの毒ガス室を見たことがあるだろうか?
プロの建築家でなくとも、あんな所でガスを使って、大量にユダヤ人を殺したなんてちょっと考えれば不可能なのだ。これも、マスコミその他を疑ってかかるいい材料になる。あのガス室にはガラス窓がある。ガス室の数メートル前にはなんと病院があり、殺した人を埋葬する場所がもっともその建物から離れている。写真でちゃんと見た。屋根にとって付けたような排気口があるが、毒ガスをどこに流すつもりだったんだろう。これだけでも、不可能である事がわかる。それに、何十年も残る、ガスの陽性反応?が出ていない。

話は戻る、朝日新聞が、カラーで宣伝していた、群馬県草津町の栗生楽泉園の記事は、日本の「アウシュヴィツツ」だとして、患者を監禁して死に至らしめる「重監房」があったというもので、これも、病気した人、貧乏な弱い人はみな善人と思い込む単細胞で、犯罪者も癩病患者になるのだ。「重監房」は、その人達の収容所だった
最後に訴えた A氏のこと
「ハンセン病元患者」の眉書きで参議院比例区に立候補したA氏をマスコミは、まるで英雄のように宣伝しているが、全生園の患者さんたちからは、総スカンを食っている。彼は金銭上のトラブルが非常に多くて有名な人物で、「自分はこの裁判を一番先に起こしたのだから、一番金をとる権利がある」といい、「俺のキライな奴等は医者も看護婦も患者たちも、俺が権力を握ったら、園から追放してやる」といっていた。当選したら口をつぐんでしまった。
おまけにその写真をニューヨークなどで、氏が自己宣伝に使い「自分はマザーテレサに百万円献金した」といった事から、カトリックの人たちは大いに怒り、以後マザーテレサを自分の宣伝に利用しないという一札を彼から愛徳会(全生のカトリック教会)に入れさせた事件があった。
            参考資料:月曜評論11月号 
            -元都立嚢教師■大野玉江 癩病の報告書、他










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