TALES OF ROSES

2010年11月11日(木) モミジの傷


隣家との堺のギリギリにモミジが一本生えていた。

タネが飛んで芽を出して、ひっそりと成長したらしい。
40センチぐらいにもなっただろうか。
庭の冬終いのついでにふと堀りあげて見たら、
横張りの根っこと細い幹に小さな鎖が絡まっていた。
ハンギング材の小さな細い鎖。

絡まっているというより、幹は鎖の輪にがっちり食い込んでいた。

モミジのタネは着地して鎖の輪の隙間から
芽を出したのだろう。
モミジは日光を求めて一生懸命伸びた。
成長と共に幹に鎖は食い込むばかりだった。
人知れず、物置小屋の隣でモミジと鎖は
何年間も静かに戦っていた。

植物は物を言えない。
あ、モミジが生えてる、と何年も私は見ていた。
隣家の持ち主が変わって、草取りが頻繁にされるようになり、
モミジの近くにミニトマトが植えられるようになり、
私は初めて
「うちの敷地のモミジだから植え替えてあげよう」と思った。
つまり所有欲で掘ったのだ。

そしたらそんな有様だった。可哀想に、もっと早く
気づいてあげればよかった。

植木鋏でこじ開けて、鎖はなんなくはずすことができた。
幹にはくっきり痕が残った。幹の半分以上がくびれていた。

鉢に植え替え、日光にあてた。
来年の紅葉を今から楽しみにしている。






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