恋文。
読むの遅いくせに、物欲だけは人一倍。 お金もついていかないので、古本屋さんに行ってきた。 たまに掘り出しモンがあるのよねー。
「陰陽師」の新刊が並んでいたので、手にとって眺めてみた。
すると、中からヒラリと何かが落ちた。 「何ぞや?」と思い拾い上げてみると、それはノートの切れ端で、 小さく小さく折りたたんであった。
興味本位に中を覗くと、
「ひっと」という男の子に宛てた手紙だった。
ほんの何行かの手紙で、ヒトの手紙を見ちゃいけないという気持ち よりも、先に文字が目に飛び込んできて、防ぎようがなくついつい 読んでしまった。
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「もうひっとのことは好きじゃないよ。ほんとだよ。」
大好きだった「ひっと」と別れて、本当はとてもとても好きなのに、 「もう好きじゃないよ」と強がって、「だから安心してね、私は 大丈夫だよ」と締めくくった手紙だった。
流行の「うまへた文字」で、授業中にココロをこめて書いて、 だけどそんなんじゃないよ、だからノートの切れ端なんだよという ような計算されたさり気なさがまた切なくて。
でもそれが、なぜ「陰陽師」にはさまれていたのかなって考えたら きゅうと胸がしめつけられた。 それを読んだ「ひっと」がポイとその辺にあった本に挟んだのか、 それともその女の子が、結局出せずにしまい込んでしまったのか。
いずれにしても、古本屋のあんなにたくさんある本の中で、あたしが それを偶然に見つけてしまった。 これ以上この切ない気持ちを広めてはいけない気がして、その手紙を 小さくちぎって捨ててきた。
高校生でも三十路でも、恋ってーものは切ないやね。
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