comfortable diary



恋文。

読むの遅いくせに、物欲だけは人一倍。
お金もついていかないので、古本屋さんに行ってきた。
たまに掘り出しモンがあるのよねー。

「陰陽師」の新刊が並んでいたので、手にとって眺めてみた。

すると、中からヒラリと何かが落ちた。
「何ぞや?」と思い拾い上げてみると、それはノートの切れ端で、
小さく小さく折りたたんであった。

興味本位に中を覗くと、

「ひっと」という男の子に宛てた手紙だった。

ほんの何行かの手紙で、ヒトの手紙を見ちゃいけないという気持ち
よりも、先に文字が目に飛び込んできて、防ぎようがなくついつい
読んでしまった。

*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*

「もうひっとのことは好きじゃないよ。ほんとだよ。」

大好きだった「ひっと」と別れて、本当はとてもとても好きなのに、
「もう好きじゃないよ」と強がって、「だから安心してね、私は
大丈夫だよ」と締めくくった手紙だった。

流行の「うまへた文字」で、授業中にココロをこめて書いて、
だけどそんなんじゃないよ、だからノートの切れ端なんだよという
ような計算されたさり気なさがまた切なくて。

でもそれが、なぜ「陰陽師」にはさまれていたのかなって考えたら
きゅうと胸がしめつけられた。
それを読んだ「ひっと」がポイとその辺にあった本に挟んだのか、
それともその女の子が、結局出せずにしまい込んでしまったのか。

いずれにしても、古本屋のあんなにたくさんある本の中で、あたしが
それを偶然に見つけてしまった。
これ以上この切ない気持ちを広めてはいけない気がして、その手紙を
小さくちぎって捨ててきた。

高校生でも三十路でも、恋ってーものは切ないやね。




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2003年08月29日(金)




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