日々の泡・あるいは魚の寝言

2004年07月12日(月) おじいちゃんのゴーストフレンド

☆佼成出版社さんから執筆の参考にといただいた、九冊の本のうち、文句なしに「これが一番よかった!」と思ったのは、安東みきえさんの「おじいちゃんのゴーストフレンド」でした。
さすが、わが猫友達! とかいったりして。
「天のシーソー」の安東さんの本です。

主人公の少年の友達の家に引き取られてきたおじいさんと、おじいさんだけに見える、不思議な親友、見えないけどそこにいる小さな白い犬。それに風が鳴る鉄塔と、形見にもらう懐中時計、窓辺の籐の揺り椅子、なんてモチーフが出てくる物語です。
過去の幸せにひたり続けることと、未来へと足を踏み出すことと。
そのどちらもがもつ価値をささやく物語というか…
ひとりの人が人生を終わろうとする時、主人公たちが、そっとその人の人生の欠片を受け継ぐ物語というか…

リアリズムなんですが、限りなく、ふわふわと柔らかい、それでいて磨き込まれた夢のような、うつくしいお話でした。

ひとりの人の人生を慈しみ、筋の通った重いテーマを持ち、でも、押しつけがましくなく、あくまでも透明感があって、しゃれていて、肩が凝らない。
もちろん、文章も過不足なく、うまいです。
構成、ばっちりです。

この本、私はとても好きです。
村山早紀、イチオシです。もう、我が心の本です。
表紙とタイトルは、少しばかり地味かもですが、でも、ぜひ手に取ってみてください。
(ちなみに、表紙は地味…っぽいのですが、裏表紙も、中の絵も素晴らしいです。絵の一枚一枚がばっちり本にあっていて、もうこの本にはこの絵(杉田比呂美さんの絵です)しかない、素敵だ、と、思いましたね!)。

「きらきらジュニアライブシリーズ」と銘打たれたこのシリーズには、小学校中学年以上が読者対象の、リアリズムの作品が集められています。
テーマは、「日常の価値、生きることの喜び、ささやかな幸せ」なんてふうに、私はうかがいました。
(で、私はこのシリーズに執筆のご依頼をいただいたので、今から書かせていただくところなわけですね)。

児童文学作家だけではなく、「え、こんなメジャーな人も?」と驚く、おとな向けの本の方の書き手さんも加わっている豪華なシリーズで、通して読むと、読み応えがあっておもしろかったです。
私のお薦めの本は、「グッバイ ムカつきベイビー」(花形みつる)、「げんこつ雲の空へ」(植松二郎)と、この「おじいちゃん」ですね。

「ムカつきベイビー」は、一言でいうと、男の子たちの友情物語なんですが、その「一言」を、ここまで面白い七十枚にしてしまう才能ってすごいなあと思いました。素直じゃないけど、かっこよくてちょっと不器用な少年たちが、友情のためにスズメバチの巣(大量のハチ付き…)と戦うという、蜂嫌いの私には、ホラー小説のように怖いお話でしたが、いやほんと、面白かった。文章の語りが勢いがあるんですね。キャラが立ってて。

「げんこつ雲の空へ」は、映画みたいでしたね。それもお洒落な小さな映画館でひっそり上映されていそうな。
ある日少年の前に現れた、謎のレインコートの男(体におそろしげな傷跡あり)の正体とは?
という物語なんですが、全体の雰囲気がふうわりと素敵だったなあ。
この本は筋立てというより、ほんと「雰囲気」がよかったので(ストーリーを紹介すると、ほんとあっさりした話かもしれず)、できれば、どこかで味わっていただきたいなあ、という感じがします。

植松さんといえば、毎日の授賞式だったか、サンケイの時だったかに、会場でお会いしたことがあるのですが(当時、公募でライバル同士だったんですよね。よくご一緒しました、名前が)、私のこと、おぼえていらっしゃるかしら…。

シリーズの他のご本も、それぞれに良い作品でした。
人によって、評価するポイントが違うかも、ということで…。
とにかく私のお薦めは、上記の三冊(^-^)

☆今日は、何をしたかというと…
いただいたお中元へのお礼状を書いたり、全日出版からこの夏にでるアンソロジイのゲラをチェックしたりしてました。
(アンソロジイは、他の作家さんといっしょのもので、私は五枚くらいの掌編と、二十枚くらい?だったかな、の、短編が掲載されます)。

ゲラのチェックは、喫茶店でやっていたのですが、短編「猫姫様」が、自分で読み返すと泣けてしまう話なので、お化粧がはげそうで困りました。
なんでこう涙もろいんだろう?

「猫姫様」は、ひたすら清らかな心のお姫様が、きよらかな行いをして、幸せになるという物語なのですが、こういうきれいな話を書くのも読むのも、私は好きなのです。

けっこういつも、「いい人が出てくる、きれいなお話」しか書けないので、私の書くものは受け付けない人は受け付けないらしいんですが(嘘っぽく思えるのかなあ?)、私が見ている世界は、本当にきれいで美しいので、リアルに写し取ると、こんなになっちゃうんですよ。

世界は、美しいと思う。
人間は、優しいと思う。

…そりゃ時として、そうじゃない時もあるけど。

でも、「美しさ」や「優しさ」を、否定しきってしまうのは、それはそれで、嘘なんじゃないかなあと、私は思うので。
どっちかというと、きれいな方を見つめて発見して、教えることで、社会とつきあっていきたいので。

今日もまた、美しい物語を書くのです。




写真は、フランシーヌさん。SD旧ののカスタム。
瞳は造形村Bブルー22�弌�


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