日々の泡・あるいは魚の寝言

2003年11月08日(土) 猫飼い悪戦苦闘

昨日(土曜日)は、レニが突如、私が誰だかわからない状態に突入してしまって、何時間か、その対処でたいへんでした。

最初、りやが、どこからかひっぱりだしてきたビニール袋に足を引っかけてしまって、パニック状態で家を走り回ったんです。
よほど怖かったのか、おしっこをてんてんともらしていました。
あわてて捕まえて、ビニール袋から解放したんですが、それをみていたレニに、パニックが伝染しちゃったんです。

猫というのは、同居している猫や人間の気分が伝染する生き物です。人間が嬉しいと理由もわからないのに嬉しくなるのが猫、悲しくなると、自分も食欲がなくなるのが猫。シンパシーの能力が高いんだそうで、そのへんのことは加藤由子の本で昔読みましたっけ。

で、レニは、わけもわからず、「なんか怖い」状態に突入してしまったんです。
恐怖が突き抜けて、飼い主の私が誰かわからない状態になってしまった。

怖かったですよう。
体重6キロの縞三毛の猫に、本気で威嚇されるのは。
レニ、目にアイラインがばしっと入っているし。目力のある目だし(笑)。

私は、うひゃーと思いながら、「これがいわゆる『飼い主がわからなくなる』状態か」と、冷静に思っていました。
猫の飼い方の本に、「交通事故にあったりすると、飼い主がわからなくなって、飛びかかることがある」と、たまに書いてあるものですが、あの状態ですね。

なだめても、名前を呼んでもだめだったので、まずはばしっと叱りました。
これはほんとはよくなかったのかもしれないけど、いまにもとびかかってきそうだったもので。そしたら威嚇しながら縮んでくれました。

それからは、猫飼い歴12年の知識をフル動員って感じで(いやもう大げさじゃなく、必死だったんですよ。猛獣を目の前にした猛獣使いみたいでしたよ。わが愛猫だけに悲しいし情けないし)、レニを元に戻しました。

とにかく、気持ちを平常心に戻そうと、好物のキャットフードの銘柄の名前を呼んで、与えました。次に、キャットニップ。それから猫草。
低い声でうなられながら、ふだんの好物をあげる気持ちってもう(涙)。
あとは遊ばせたらどうかな、と思って、おもちゃを見せたけど、うなるばかりで、全然だめ。

この段階では、治らなかったらどうしよう、と、思っていました。
アメリカだと、飼い主がわからない状態になった犬猫は安楽死だし、日本でも、たまにそういう話は聞きます。
考えると、頭がくらくらしました。
実際、小型のライオン状態になったレニは、半端じゃなく恐ろしく、これと毎日いっしょに暮らすのは、危険だと思いました。
瞳孔が開いて、真っ黒になった目で見つめられると、怖いですよ、猫。
うちにはケージがあるし、レニはケージで暮らすことができるように、子猫時代にしつけてはいるけど、この猛獣を抱きかかえてケージに入れるときは、流血ものだろうな、と、貧血起こしそうでした。

でも、レニは、私が、目が開く前に拾ってきて育てた猫です。
手のひらサイズで、へその緒つきだった赤ちゃん猫を、ほとんど寝ないで、かわいがって育て上げたんです。
ふだんは、逆さまにだっこしようと、おにぎりみたいにこねくりまわそうと、文句一ついわない、私を信頼している猫なのです。
絶対、元に戻してやる、と思いました。

自分の体をなめさせたら大丈夫だ、と思ったので(猫は、体をなめると落ち着くようにできているんです)、マーガリンをなめさせました。
なめてるところで、胸元と背中に、マーガリンを塗りたくりました。

結果的には、レニの場合、それで正解でした…。
なめまわしているうちに、落ち着いて、目が元に戻り、やがて、いつものレニに戻ったのでした。
何時間かかったかなあ? 午後がまるまるつぶれたのはたしかです。

元に戻ったレニと、ボール投げして遊びながら(アルミ箔を丸めて作ったボールで、モッテコイをするレニなのです)、平凡な日常っていいものだなあ、と思いました。
同時に、猫って自分の野生を自分で押さえて、人間とつきあっているんだなあと、しみじみ実感しました。


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chayka [HOMEPAGE]