すっかり空も風も、春めいてきましたね。 永劫回帰、という言葉が胸をよぎったりします。 なぜかな、春というのは、「帰ってきた」という思いになる季節です。
料理にしろ、生き方にしろ、感情表現にしろ、「脂っこいもの」は苦手な私なわけで。 つまり、執念だの執着だの、過剰な感情表現だのは不得手なので。 束縛するのもされるのも嫌いだから、どうしてもそういう人間関係とはお別れしてきてしまう。
さらさらと鳥のように風のように生きていきたいわけですが。 でもやはりたまに、思いが帰ってゆく事柄や、人々の思い出はあります。この年まで生きてくれば、ま、それなりにいろいろありますわな。 まあ、思いだけがかえっても、実際の行動は何もしないあたり、鳥が輪を描いて空を飛んでなつかしいどこかへ舞い戻り、空の高みから見るだけ見下ろして、また帰っていくようなものなのですが。
でも、春になり、もうじき桜の時期が来れば、舞う花びらを見上げて、いろいろ思ったりもするでしょうね。 あの人は元気かな? この人はもう子どもでも生まれたんじゃないかな、とか。 みんな幸せでいてくれますように、とか、ひそかに祈っちゃったりして。 そして笑顔で、また、桜の木の下から、立ち去ったりするわけです。 それでもやはり、来年も桜が咲けば、思いは帰るんだろうなあ…。
春が来るごとに、ふりかえるべき思い出は、いくつもいくつも、心の底に降り積もってきます。 生きていくのにはじゃまだから、ふだんは忘れているけれど、でも、捨ててしまっているわけでもない…。 いつもいつも、春までは忘れているだけです。 大事にしながら、忘れているだけです。
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