風野潮さんの新作「いとしのドリー」(岩崎書店)を、少し前に拝読しました。 感想を書くのが遅れちゃって、ごめんなさい、潮さん。
いわゆる近未来SFです(でも舞台は今の日本)。 悲しい出生の秘密を持つ青い目の美少女と知り合った大阪在住の少年が、その子と手を取り合って、大阪の市街を走り回るお話です。少女はわけあって極悪なおとなたちに命をねらわれておりまして、平凡な主人公の少年は、けなげにヒロインを守ってがんばるわけですね。 面白かったです。テーマ的に、深いところがあるし、今だからこそ、読まれるべき作品だと思いました。…そういや今年、未年だし(笑)。
よかったのは、まず、謎の美少女ドリーの造形。彼女のする行為、発言の一つ一つが、リアリティがあって、なおかつ、愛らしいです。こういう子なら、たしかに守りたくもなるでしょう。 また、太陽の塔の使い方も、どきどきしました。ほんとに内部はあんなになってるんですかねえ? それと、イラストも美しかったです。勢いが良くて、なおかつかわいらしい。どこか昔の児童書の挿し絵みたいな趣があって。
で、以下は気になった点。 このお話だと、主人公はいっそ、「妙に勘が鋭い少年」とか、「ものの声が聞こえる少年」「親の死がきっかけに第六感に目覚めた少年」あたりの設定にしておいた方が、もっとスムーズになったかもなあ、とは思いました。 ラストのとある場所でのコーラスのシーンその他、普通では説明しにくい、不思議なシーンが多い話であるので。偶然、とか、ばったり、も多いし。 もひとつ。「一見明るいんだけど、実は無理してる主人公」という設定は、もっと前面に押し出して書いていた方が良かったかも知れませんね。 それと、おじさんの悲恋については、もう少しだけ、詳しく書いた方が良かったかも。どんなに好きだったか、とか。大事なエピソードなので。
何はともあれ、風野潮さん、新刊おめでとうございます。 次の本にも期待しています。
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