リバイバル上映中の「アメリ」を見に行ってきました。
ごらんになった方も多いでしょうが、一応感想など書いてしまいます。 フランスの若い女性アメリさんが、ささやかないたずらをすることによって、まわりの人たちを幸せにしてゆく、というお話です。 一言でいうと、「小公女」のとなりのインド人さんたちが、こっそりセーラ・クルーにたいして行ったような奇跡を、アメリさんは連続で行うのです。
一番「こりゃすごいわ」と思ったのは、同じアパートに暮らしている老婦人に、偽物の手紙を届けるエピソード。 この老婦人は、数十年前に夫に捨てられています。夫(写真見ると、かなりのハンサム)は愛人と海外に高飛びしちゃったらしい。で、それ以来、彼女は部屋に閉じこもったきり、部屋の空気は過去のまま、死んだ愛犬も剥製になって、部屋に飾られています。何より彼女の精神自体が、毎日嘆くことしかできなくなってる。 そんなある日アメリは、新聞記事で、アルプスの山の中から古い手紙がたくさん発見されたということを知ります。それは何十年も昔に、雪のアルプスに落ちた旅客機から見つけだされたものなのでした。
アメリは、老婦人の部屋から、夫から彼女に届いた手紙の束を盗み出します。それは夫がわかかりし日の彼女に夢中だったころに書いた、熱いラブレターで、アメリは老婦人から、その手紙の説明をきかされていたのですな。 アメリはその手紙をコピーして、文章と言葉をばらばらにはさみで切り取り、まるで脅迫状をこしらえるような感じで、新しい手紙を作り上げます。そしてそれをさらにコピー。できあがった手紙を水に浸し、洗って(トナーだから、水に流れるんですね)、一見古い手紙のできあがり〜♪ アメリは、手紙を封筒に入れ、こっそり老婦人に送ります。 ある日、老婦人に手紙が届きます。それは、雪山で見つかった古い旅客機から発見された手紙だという郵便局(?)のふせんつきのものでした。 それはなんと、行方不明になったと思っていた夫からの、愛がこもった手紙だったのです。手紙には、女とは別れた、もうすぐ帰る、と書いてありました…。 老婦人は泣きながらそれを読み、そして彼女の表情は晴れやかになるのでした。
てな感じのエピソードがいくつかでてくるんですね。 それにぷらすして、アメリ自身のラブストーリーが進んでゆく。 アメリさんは、アパート(フランスだから、アパルトメント、というべきなんでしょうか?)に一人暮らししてます。職業はカフェのウエイトレスさん。 アパートの住人たちも、カフェの常連たちも、みんなちょっと変で、ときどき下品で、でもいい感じなんですね。 わたしは、ガラスのようにもろい骨を持った老画家さんが好きでした。O・ヘンリの「最後の一葉」にでてくる画家さんみたいな人なのです。 カフェの女店主もいい味だしてましたね。元曲馬団の人。 アダルトショップのナイスバディなお姉さんも、なんかよかった。
なにより、アメリさんがかわいくて、表情の変化を見ててあきなかったです。 かわいかったなあ。きれいだし、粋だし。オードリー・ヘップバーンを、野性的にして派手にして今風にした感じ。 リバイバル上映だったので、グッズがなにも買えなかったのが、非常に悲しい。
ところで、アメリさんは、実は他人と深く関われない性癖を持った人なのです。子どものころから、空想の世界でだけ遊ぶ少女でした。 この設定あたり、個人的には胸がうずいちゃって、感情移入してみてました。 いたずらで他の人の運命に関わっていったり、人を幸せにしてみたり。こんなのわたしもやりそうな行為だしなあ…。 ていうか、アメリのいたずらは、わたしにとって本を書く行為と同じなので。 そうやってしか、世界と関わっていけないので。
最後、アメリは、自分の手で自分を解放することを選びます。 それを助けたのは、老画家が彼女にしかけたささやかないたずら、でした。
ううう。アメリ、幸せになってよかったね。 アパートのみんなもカフェのみんなも、よかったね〜。
ところで、主題曲の「アメリのワルツ」って、何度も鳴るし、耳に残るんです。 映画館を出てからも、耳の奥でエンドレス。ぶんちゃっちゃ♪ するとどうなるか? 気分はアメリですよ。もう歩き方から視線まで、アメリさん憑依状態。わたしはアメリ。今もまだちょっとだけ、体と心に、アメリの残滓が残っています。
あ、この映画、すごくきれいな映画でしたが、ちょこちょこアダルトなシーンがでてくるんで、大学生以上の方におすすめします(笑)。ビデオがそろそろでてるんですよね、たしか。 お子さんといっしょに見たりしたら、目のやり場に困るシーンもあると思う…。
しかし、古い庭の風のざわめきとか、運河の水を石が切る音とか、あのあたりはビデオで見るより、やはり映画館の迫ってくる音で聞いた方が正解の作品でした。
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