私はこれで、病院に通っていた時期があります。
なんていうか、ストレスがたまると、息ができなくなるんですね。 寝不足もてきめんに来る。 内臓がどこか変なわけじゃないです。心の病気。
えーっと、ここで<注意>。
以下は過呼吸症候群を持っている人は読むと、まじで発作を誘発する危険があるので、読まないでください。おねがいね。 私も、人の症状の話きくと、息苦しくなるんで…。
起きているときに、息苦しくなる分にはよいのです。 けっこう深呼吸で治ったり、他に気を逸らすと大丈夫だったりするから。 でも、寝ているときに発作がでると、苦しいよう〜。 夢の中で、やばそうだな、息苦しいな、と思うと…。 おきても、息ができないのが持続してたり。恐怖映画の世界なのだ。
症状を自覚しだしたのは、最初が多分、歯医者さんで治療を受けていたときで、そのときは、親不知を抜くための麻酔をうったあと、歯医者さんが歯科衛生士さんとなにやら喧嘩している声を聴いたとたん、なぜかそれは私が歯医者さんを怒らせたからのような気がして、その瞬間、息ができなくなったのでした。 今までで最大の発作は、やっぱりあのときだったんだと思う。 とにかく、息を吸っても、肺にたまらないというか、息苦しさが止まらない。 顔がこわばるし、手は冷たくなる、脂汗は流れる、でも気は遠くならない(ここがみそで、辛いところ)、死ぬかと思った。 でも、「大丈夫、大丈夫」と、お医者さんたちに励まされ、そのうち酸素マスクをあてられて、復活したのでした。どうでもいいけど、酸素はぬるくてまずかった。もっとこう、清涼なもの、を想像していたのに…。 (ここで、不思議なのは、普通、過呼吸症候群って、二酸化炭素が足りなくなってなる〜んだと思います〜はずなのに、どうして酸素吸入できいたかってことなんですが。<人につっこみをいれられたことあり 「これで大丈夫」という暗示で治ったのかなあ、と、自分では思っています)。
でも、そのときは、私は麻酔の副作用で、具合が悪くなったのだと思っていました。それからずうっとそう思っていました。
が。 次の発作がでたのは、父親が死んだ一年か二年あとのことです。 うちの父親は、食道癌で死んだのですが、最後は、腫瘍が喉をふさいで窒息死するだろうと知人の医師から予告されていました。それは苦しいだろうと。 私たち家族は、怯えながらその日を待っていました。実際、父は、死の間際、いつも喉のあたりを気にして、もうろうとした意識の中で、喉のあたりをゆるめるような仕草をいつも繰り返していたのです。
結果的には、父は、衰弱死のような形で、文字通り「眠るように」息を引き取ってくれたのですが(家族の誰もが、その死に気づかないような、静かな別れでした)、それはよかったのですが…。
父の死のあと、少しして、私はしっかり、癌ノイローゼになってしまいまして。 それは生前衝突することが多かった父との、複雑な関係のせいもあったんでしょうけれど、残された家族が等しく煩ったノイローゼの、その中で、私のが一番、症状がひどくなって長引いてしまったのです。 過呼吸症候群のおまけもついてねえ…。
過呼吸症候群では、普通、死にません。 んなこと、本読んでわかってます。 病院でカウンセリングだって、受けてます。 でも、苦しいものは苦しいんだよう〜。
当時、二週間に一回病院に通いました。 「軽い薬です」といって薬局にもらいに行った薬が、実はけっこうな強い薬だと薬剤師さんにきいて、びっくりしたこともあります。 病院は当然のように、心療内科。 待合室では、わけもなく腕をくるくる回し続ける若者がいたり、拒食症の女の子が、家族と談笑していたり(「今日ね、先生が『今日こそはごはん食べられるよ』っていってくれたの。私も何だかそんな気がするの」「それはよかった。じゃあ、これから、レストランに行こうね。ね?」「うん。今日は、本当に食べられる気がするの」)、異様に笑顔でいろんな人に話しかける人がいたりしました。 ので、わたしは今も、心の病気で病院に通う人には、偏見を持っていません。 つーか、私自身、病院に行ってなかったら、やばかったと思うし。
当時、本気で食べ物が喉にとらなくなってね。 つっかえるし、つっかえそうで怖くて食べられないし。 そんなこんなで、胃カメラを二回か飲んで。 耳鼻咽喉科のカメラも飲んで。<こっちのが胃より辛いです! で、胃の病院で、心の病気だと断言されたのでした。 心の病院に行く気になったのは、当時、『心療内科医涼子』という、佳作のテレビドラマが放映中だったからで、まあ、当時はいろいろ、賛否両論あった作品なのですが、少なくとも私は、あれで助けられた…。病院の扉を叩く気になった。 心療内科にいっていなかったら、未だに私は、カメラを飲み続けていたのではないかしら? そうしてそのうち、何か事故があって死んでたかもなー。
七転八倒していたそのころに、『はるかな空の東』と、『シェーラひめのぼうけん4〜海賊船シンドバッド』を書いていたのでした。いろいろ影を落としているのが、わかる人にはわかると思います。 癌ノイローゼと、過呼吸が書かせた二冊。<いいきるとなんだかなあですが まあ、何事も、ネタになっちゃう作家だともいえる…。 よくいえば、転んでもただでは起きないという奴ですか?
先週末に、ひとつささやかな人間関係のトラブルが生じまして、今、ひさしぶりに、ささやかな息苦しさ勃発中です。ちくしょー。病院に行くひまなんかないぞう。大体私の行きつけの病院は、いつも異常に混んでるんだから〜。 深呼吸でごまかせ、深呼吸。
まあ、でも、最近、私自身が人にストレスを与えちゃって、同じ病気持ちのその人を入院送りにまでしちゃっていたことがわかったので、これもまわる因果は糸車、と、黙って受け止めている私です…。私は神経が細い割に天蚕糸のように丈夫だから、入院なんてことまでは悪化しないからなあ。 その人には、本当に悪いことをしました。 症状の大変さがわかるだけ、私も辛いです。ごめんなさい。 (と謝っても、その人は、<注意>をちゃんと読んでるなら、ここは読んでないはず。…いやまて、ちょっと、読んでたら、だめですよ!)。
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