日々の泡・あるいは魚の寝言

2001年10月02日(火) 夢みる木馬

アカネヒメ物語2が、先日やっと書き上がったところです。
無事出版されますと、12月はじめ配本の本になる予定だったと思います。
…ばりばりにクリスマスネタなので、なるべく早くでてほしいです(笑)。

今回、岩崎書店編集部に、私が最初に送ったあらすじは、こういうものでした。

「公園に捨てられた古い木馬の夢は、サンタクロースのそりを引くことでした。
一方、ある若者は、サンタクロースになることを夢見ていました。
二人の夢を、アカネヒメとはるひが叶えます」

…こういう曖昧模糊としたアイディアを提出されて、GOサインをだしてくれた、岩崎書店さんは、偉大です(笑)。

でまあ、もっと細かいあらすじを考えた上で、原稿を書いていったのですが、すると、途中で、木馬のエピソードが変わっていって、木馬はただの小道具になってしまい、「サンタクロースの子孫である」(と、はるひに自らを語る)大学生メインの物語になっていっていました。
アカネヒメは、50枚の話なので、ゲストキャラがふたりは多いのです。

で。木馬は中心じゃなくなったんだけど…。
雰囲気とごろがいいので、タイトルはそのままでいくようですね(笑)。

今回の物語には、例のアメリカのテロの事件が影を落としています。
いや、私の心の中に、影を落としていたので、しっかり反映されました。
そう、私は自分の心の傷を、無意識のうちに、トレースする作家なのです…。
傷をなぞって、自分で納得させないと、立ち直れない作家です。

あのテロ事件は怖かったです。
いろんな意味で怖ろしかった。

身にしみて怖かったのは、友人知人が、死にそうに思えたことでした。
最愛の弟子椎名かえるさんのご主人が、あと少しで助かったこと。
かもめ亭のMeatianさんが、当時中東にいたこと。
どちらも、心が凍るほど、怖かったです。
無事でよかった、という言葉をここで書くのは、亡くなった方々のことを思うと、無神経に思えますが、でも、本当に、おふたりが死んでしまっていたら、どんなに悲しかったかと思います。

結局、テロのあとは、まる一週間も、仕事ができなくなったのですが、そのあと、少しずつ物語を完成させていったのが、「夢みる木馬」でした。
書くのがつらくて、ストレスで顎が痛くなってしまって、食事もろくにとれないような状態になって、やっと、書き上げた作品です。

私にとって、また一作、大切な作品が描けたと思っています。

画家の森友さんが、原稿を読んで、とってもよかった、やっぱりうまいねえ、と電話でほめてくれながら、一言いいました。
「ずいぶん、苦闘して書いたでしょう?」
…鋭い人なのでした。

おっと。明るい話題。
今度のアカネヒメは、右ページ下のカットが、森友さん入魂のパラパラ漫画ですよ〜♪ うさぎさんのアニメです。乞うご期待!


 < 過去  INDEX  未来 >


chayka [HOMEPAGE]