人に頭を下げるのが苦手なわたしですが、同じくらい、頭を下げられるのが苦手です。苦手というか、なるべく避けたい。先生とか呼ばれるのも嫌い。
いやそれが、同じジャンルの勉強をしている人や、ファンの人から呼ばれるんならいいんです。でも、全然ゆかりのないジャンルの人や、わたしの本を読んでいないような人、児童書に興味のない人から、頭を下げられてしまうのはいやだなあ。 たとえ、相手が善意で尊敬してくれても、身の置き場がなくて困ってしまいます。おつきあいで頭を下げられるのは、当然のこと、もっといやです。
作家なんて、その人のファン以外の人からは、まるで価値のない存在なのです。偉くも何ともないのです。だからって、馬鹿にされたら腹が立ちますが、あまりにも、先生扱いされるのも…。でも、児童文学作家をやって七年も経つと、イベントなどで、そういう場面にたたされることも多いのであります。
そういうわけで、わたしは、講演会の仕事が来ても、断れる限りはすべて断っているのですが、明日は久しぶりに人前で話をします。 卒業した高校が、明日、創立百二十一年目の創立記念日を迎えるのですが、その場でお話をすることになりまして、いくらなんでも、母校からのお招きでは、わたしでも断れないのでした。おいしいお弁当も出るらしいので…ははは。
今日は、明日話すための短い原稿を書いていたのですが、ちょっと、「風の丘通信」のことでも話そうかなと思いました。もっとも、創立記念日でのお話なのですから、学校のことや教育理念などにも、ふれなければいけません。なんとか結びついたものがかけたので、今はほっとしています。 高校生たちに喜んでもらえる話になるかどうかはわかりませんが、心をこめて、話してきたいと思っています。
…あとは、先生と呼ばれるたびにひきつる顔の表情を、どうやってごまかすかという知恵を考えなければ。
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