CORKSCREW Diaries(米国編)
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2001年09月17日(月) 002 HIGHWAY 01


 少し遅れて飛行機はアイスランドに到着した。日本を発ってから丸24時間。僕らは移動にそれだけ費やしたことになる。いよいよ、世界の果てまで僕らはやって来たのだ。

 ケフラヴィーク国際空港は予想以上に小さい空港だった。名古屋空港の方が余程大きい。レイキャヴィークからして人口10万人しか無いのだから仕方ないのかもしれないが。

当然、日本人の姿は見当たらない。日本人どころか東洋人の姿すら見当たらない。そんな中、黒髪の(多少染めてはいるが)我々の姿は異様に目立つ。さすがにじろじろ見られたりすることは無かったと思うが。
そして入国審査はあっさりと終了した。コペンハーゲンで厳重に審査されてるからまあこんなもんなのだろうか。税関(らしきもの)でパスポートを見せるように言われ、見せたら、もうOKだった。「君たちは何処から来たのかね?」 と聞かれ、「日本だ」と答えたら、「うーん、そうかそうか」と頷いていたけど、日本って何処か分かってんのかな〜? ちょっと疑問だ。
 
空港でしなければならないことは、まずはインフォメーションにて地図を入手することだった。なんせアイスランドに関する情報は非常に少ないのだ。情報を得ることが先決だった。今日の一応の目的は、車をレンタルして北方の街アークレイリに向かうこと。距離は400km。片道5時間かかる。ただこの日のうちにアークレイリに辿り着きさえすれば、明日以降の予定が大分楽になるのだ。
インフォメーションの人の話によると、
「アークレイリ? 5・6時間はかかるぞ、君たち正気かね?」
長旅だが混み混みの飛行機であんまり寝られていない。それに、そんなに簡単に車が借りられるかも分からなかったので、一度引き下がり、まずはレンタカーをあたってみることに。

が、・・・車はあっさり借りられた。
とにかく一番安いやつで、遠くまで行くから距離の制限の無いやつで!
(向こうの国は基本的には距離に応じて値段が加算されるらしい)って注文を出したところ、三日間で19800isk-25000yenってところで借りられた。
思ったよりも安い! アイスランドは物価が超高いと聞いていたのでこれはラッキーだった。
ちなみに、車種はトヨタのYARIS、そう、ヴィッツの欧州ブランド名だ。
アイスランドまで来てトヨタかよ〜なんて思うはずも無い。
だってヴィッツの基本性能の良さは重々承知しているからね。
ちなみに、アイスランドでは、割合が半分以上を占めるぐらいじゃないかって言うぐらい日本車が多かった。トヨタ、日産、本田、三菱、スバル。ディーラーも日本メーカーのものが一杯あった。ロンドンではそれ程でもなかったけど、アイスランドは多かったな〜。あと現代の車も結構見たな〜。やっぱり過酷な環境だからね、基本性能の良い日本車が好まれるのだろうか。

無事に車を借りることに成功したので、思いきってアークレイリまで行くことに。 ということで今夜泊まる宿の予約だけはインフォメーションで入れておく。アークレイリに着くのは早くても7時。勿論その時間帯にはあちらの街のインフォメーションはすでに閉まっているだろうから。宿のあてなんて勿論無い。BOOKING FEEが500ISKかかるが、今晩の宿さえ確保しておけばとりあえず安心だ。勿論、無事に着けるかどうかは分からないんだけど。

と、ここまではとんとん拍子にはコトが進んでいる。
車は借りたし、宿も確保した。宿はともかく車が無事に借りられるか、借りられたとして安く上げられるのかは僕らにとって一番の懸念されていたことで、この問題がクリアーされた時点で僕らの旅の成功はもう約束されたようなもんだ!
そして僕らはレイキャヴィークの街に向かう。
眼下に広がるのは火山岩におおわれた荒涼たる大地。生えているものは苔のみだ。草や木も全く見られない。遠くに見える海岸に波が激しく打ち寄せている。まさしく世界の果て!!!! しかし凄いところに来てしまった。 


だがしかし物事はそこまで順調に進まなかったのである。
道に迷ってしまったのだ。
時間に余裕がなかったこともあり、地図の確認はおおまかなところでしか出来なかった。とりあえずは、国道1号線に入らなければならなかったんだけれども、どうも曲がる標識を見落としていたらしい。結局、レイキャヴィーク市内で迷い混んでしまう。現在位置が何処なのか、さっぱり分からない。後から考えると、レイキャヴィークは小さな街なんだから、間違えようが無かったんだけれども、やっぱり初めての土地は、ね。途中で2回ぐらい道を聞いて、やっとのことで正しい道に入ることが出来た。アイスランドの人は、英語は全然問題なく話せるみたいで良かった〜。 とても礼儀正しく親切に教えてくれました。しかし僕らがアークレイリまで今から行くと言うと、「本当かね君、あそこは滅茶滅茶遠いんだよ、大丈夫かね」と不思議そうにこのcrazy JAPANESEをみつめたのでした。そんで結構不安になってしまったのです。でも宿の予約は取ってしまったし、もう道を間違えるのは許されないぞ、と。言う感じ。


そうそう、アイスランドは車は右側通行。
ということで、当然、左ハンドル! ついでに言うと、オートマなんてものは無いのであります。僕は日本でもミッションなんて車はここ2年ばかり運転していない。まあ当然のごとく、まずは川上はんが運転していくのであった。だけど途中からもう、じぶんでたまんなく運転してみたくなるんだよね。
だって道はHIGHWAY。レイキャヴィークを出てから、信号なんてものは一個も無いのだもの。地平線の彼方まで延々と続いていく道を、僕らは進んでいくのだ。高い山の間をすり抜けて、いくつもの湖を河を越えていく。小さな街も越えていく。アイスランドの大地に森は無い。あるのは大地だ。びっしりと苔の生えた大地。不毛の大地。どれだけぼーっと見つめても全く飽きることが無い。こんな体験、初めてだった。そしてその感動は、アイスランドを去るまで続くのだった。運転を交代した僕は、HIGHWAYを突き進む。さすがはベストセラーVITZ、ものすごく運転はしやすい。しかも燃費は抜群だった。おまけにCDが標準装備されていた。でも、掛ける音楽はなぜかJAPANESE。洋楽も持っていったけど圧倒的に数は少なかったので。




遠く遠く彼方へ道は いつまでも ただ伸びているよ
oh その先へ向けて
KEYを片手に飛び乗った車はいつでも発進OK!
さぁ飛び出して行こう

遠くへまた遠くへとずっと
進んではそして超えていって
僕らは何か見つけるんだな

from「HIGHWAY 98」




快調に進んでいたそんな僕らを襲ったのは、運転を再び川上はんに返した直後のことだった。急に砂利道に変わった道路でのことだった。それまで100km/hで飛ばしていた車が、砂利道に入った瞬間、コントロール不能! 砂利道に足を取られてしまったらしい。水平に一回転した後、やっとのことで車は停止した。コースアウトする寸前だった。心臓、止まるかと思った。幸いにして、道からはみ出さずにすんだ上、車のダメージはそれ程無かった(様に見えた)ため、なんとか元通りの道に戻ることは出来たんだけど、荒野のど真ん中で車が故障して動かなってしまっていたら・・・考えただけでも心が寒くなる一瞬だった。
どうやら、速度減の標識は出ていたらしいが、砂利道になる標識を見落としていたらしい。僕は助手席で速度減の標識には気付いていたものの、ドライバーに告げられなかった。どちらにしろ痛恨の見落としだった。まあ何事もなかったから良かったんだけど。

肝を冷やした僕らは、その後は、安全運転を心がける。目的地のアークレイリには後僅かだ。時刻は午後7時を回っていたが、外はまだまだ明るい。空港から5時間、無謀といえば無謀だけ。
ああCRAZY JAPANESEふたり。
極東の国日本からよくぞここまでやって来たもんだ。

午後八時過ぎ、やっとのことでアークレイリの街が見えてきた。
外はまだ明るかった。予約を入れていたゲストハウスも無事に見つかった。そして、晩ご飯、食べる様な余力もなく、ベッドで就寝。ひょっとしたらこの日はオーロラが見えたのかもしれない。だけど飛行機で24時間、車で6時間。もう僕にはオーロラを見るような体力なんて全く残されていなかった。その後、アイスランドの天候は今一つで、オーロラを見られるような条件は結局揃わなかったから、ちょっと惜しいことしたかもしれない。でもこの日僕らに必要なのは休息だった。僕は泥のように眠った。そう、夢を見ることもなく、僕はこの日はぐっすり眠ったのである。とてつもなく長かった一日は、こうして終わったのだった。






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