西方見聞録...マルコ

 

 

雪だるまパン - 2005年01月21日(金)



今日は午後から出かける予定があって出かけた。お昼ご飯はJR法隆寺駅前のパン屋さん「小麦」で買って、行きの電車の中で済ませた。「小麦」が冬の間だけ限定で売る「雪だるまパン」があったのでそれを買う。

稲田堤から当地に引っ越してきて、すぐにやってきた2002年の冬、私たち家族は雪だるまパンばかり食べていた。1号は新しい環境になじめず、毎日爆発しそうになり(時々実際、爆発し)ながら生きていた。私も三月の博士課程の入試を前になんだか宙ぶらりんに生きていた。夕方7時頃、一人だけ社会と上手いことやってるあめでおさんが駅から「これから帰るけど何かいるものない?」と電話をかけてくる。そんなとき1号さんは必ず「雪だるまパンを買ってきて」といった。夕食後しばらくテレビを見たりお風呂に入ったりした後、3人で雪だるまパンを食べた。ハイジに出てくるような白パンで、雪だるまの形をしている。上の丸い部分にチョコクリームが下の丸い部分にカスタードクリームが入り目や手の部分が小枝チョコで出来ている。

何を話すわけでもないけれど、ただ3人で黙々とパンを食べた。見えないあしたに向かう、勇気というか、「よっこらしょ」という勢いをそこから得るように黙々と食べた。まだおKさんは離乳食が進んでいなくて白いパンの部分を時々小さくちぎって与えたりしたような気もする。

春になると雪だるまパンを「小麦」は売らなくなる。その頃にはなんとか1号も保育園でのポジションを築き、私も進学を決め、パートタイムの講師の職も得ることが出来た。それから今年は二回目の冬だ。

今日久しぶりに大和路快速の中で雪だるまパンを食べながら、去年の冬も今年の冬も私たち家族はもう3人で雪だるまパンを黙々と食べてあしたに向かっていく力を涵養しなくても、それぞれに日常を転がしていけるようになったんだな、と思い至り、なんとなくしみじみとした。






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