西方見聞録...マルコ

 

 

1号就学前検診 - 2003年11月07日(金)

 上記催しが翌4月から1号さんがお通いになる予定の小学校で執り行われ、マルコと1号はいそいそとおでまし。

 検診はお昼過ぎからなので、1号さんは朝は保育園に行ってもよござんしたが、「おうちでゆっくりしたい〜」という本人の希望により朝、あめでおさんにおKさんだけ保育園に持ってってもらい、1号さんとマルコはものすごいお久しぶりの「2人の愛ランド」な時間をお過ごしになる。まあ午前中早い時間で掃除洗濯布団干しなんかをやっつけ、11時ころからパン屋でパンなんて購入し、9月にお月見に利用した公園でパンを食べつつ、2人で公園の遊具で遊んだりした。2人でジャングルジムの上に登ってぼけっと空を見ながら「2人きりなんてお久しぶりだね♪」「おKさん生まれて以来、初めてじゃございません?」などと愛を語らう。

 途中公園にご飯を食べにきた老女な方に「今日は学校はお休みですか?」と聞かれ「コレから就学前検診なんです」とこたえる。もう母子2人で平日、公園にぶらぶら遊びに来ると不審な年令になってしまったのだなと感慨を抱く。

 さて保育園に寄って上履きを持って、小学校にGO。小学校はうちの目の前である。着いて体育館で受付を済ますと、同じ保育園のクラスからの仲間がおじゃおじゃとおられる。とくに日ごろから1号さんを崇拝して下さり、1号さんも「わたしってばNくんに恋しちゃったのかしら」とつぶやいた過去のあるN君が1号のすぐあとに受け付けてくださり、一緒に検診を受けるグループに配属になったので1号のリラックスムードは高まる。N君に感謝を捧げつつ、マルコはN君母上と情報交換しながら検診の開始時間を待つ。

 そして2時に子どもたちは検診の行われる教室に移動。このとき5年生(来年6年生になる)が1人づつペアになって来年1年生になる子の書類を持って、名札をつけて、手をつないで、勇んで出かけていく。

 5年生の中にはいろんな感じの子どもがいる。もう中学生のような風貌の子もいればかなり幼げな子もいる。身障学級の子らもエスコート役を務めてくれる。また当地はニューカマーの人も多いので、様々な国籍の子どもたちがいる。川崎在住時代よくお見かけしたコギャル系小学生はほとんどいない。1号さんはどんな5年生とペアを組むのかと見ていると、一際すっきりとした、りりしい風情のお姉さんが1号の手を取り、名札をつけて、「安心して」とつぶやき、頭をなでてくれている。1号さんはりりしいお姉さんに手を引かれて、N君と体育館を出て行く。

 残された母親たちは準備する持ち物などのレクチャーを受けたり、簡単に校長から「返事・挨拶だけはできるようにして入学させてください」と訓辞をもらう。固まりがちな1号さん、返事・挨拶、苦手科目です。

 1時間程して子どもたちが検診から帰ってくるのでエスコート役の5年生から子どもらを受け取り、最後に簡単に親子で先生と面接をして今日の行事は終了する。

 りりしいお姉さんから1号を受け取ると、お姉さんは別の新1年生をつれて来ている母親と思しき女性のところに行き「OOくんったらぜんぜんじっとしてないの。検診会場で注意したんだけど、こんなんじゃだめよ」と報告している。どうやら弟さんも新1年生にいて、その様子をお母さんに報告しているのかな?と思ってみていると、また1号のところに戻ってきて「またね」と挨拶してくれたので「あの人はお母さん?今日は弟さんも来ていたの?」と訊いてみる。

 すると、お姉さんはマルコの顔を真正面から見据え「いいえ、私はOO園にくらしています。あの人はOO園のスタッフであの子もそこの児童です。私の本当のお母さんは家にいますが、普段は一緒に暮らしていません。」と落ち着いたしっかりした様子で話す。OO園とは近所の奈良県立の児童福祉施設だ。

 マルコは瞬間の動揺を悟られまいと目に力を入れ、
「そう、がんばっているのね。今日は本当にこの子の面倒を見てくれて有難う。」
と何とか言う。彼女はマルコの瞳の奥の動揺もすべて見通すような真っ直ぐな視線をふっとなごませて「こちらこそ」と言い、園のスタッフの女性のところに行き、一言二言交わして、他の5年生と一緒に体育館から出て行った。

 その後姿を見つめながら、思わず「りりしい」とつぶやいてしまった。

 彼女があの背筋をピンと伸ばしてりりしくあるために、どれだけの努力があるのかはマルコにはわからない。でもその努力の尊さだけは伝わる、そんな彼女の立居振舞だった。

 小学校はワークングマザーの子どもたちがメインの保育園よりもかなり広い世間のようだ。そこで1号さんが出会う様々な出来事を肯定的に見守りたい、そう思わせるりりしいお姉さんとの出逢いだった。


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