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指輪物語関連ファイル

YUKI


2002年03月31日(日)
 <本>『指輪物語 旅の仲間』 by トールキン


まともな本を読んだのはずいぶん久しぶりかもしれない。
『ロード・オブ・ザ・リング』の映画を見て、それから原作を読んだ。
映画は『二つの塔』の一部を含んでいるようだが、まだそこまでは読んでいない。

読んで思ったのは、映画はかなり上手に原作のエッセンスを拾っているということだった。
ガンダルフの知恵、アラゴルンの気品、ボロミアの苦悩、レゴラスとギムリの友情、
ホビット達の誠実さ、そしてフロドの勇気。
重い荷物は自分で背負わなければいけないこと。
誰にもそれは、肩代わりできないこと。
それでも、孤独ではないこと。
代わってあげることはできないけれど、
互いの思いやりが、荷物を少し軽くする。
そんな仲間達の気持ちが、読んでいる私の心を
悲しいようなほっとするような場所へ連れて行く。
それは、映画を見ているときにも感じたことだった。

では、映画で拾いきれなかったものは何だろう。
満天の星や、草原をわたる風や、エルフの歌が響き消えていく空間や
おいしい食事をたっぷり食べて、仲間と語らい歌い踊る楽しさや
葉陰の涼やかさ、森の静けさ、水の冷たさ、火の暖かさ、
そういったものかもしれない。
それから、風のように軽々と歩くエルフの姿に象徴される
美へのあこがれとか、そういったもの。
色彩あふれる森の描写とか。
恐怖と戦いさえ、原作ではもう少し穏やかに語られている。
こればっかりは、今の映画だからしょうがないかしら。

もう少し早く原作を読んでおけばよかった。心のやわらかい10代の頃に。
そうしたら、もっと、指輪の世界に入り込めたと思う。
それはものすごく楽しい時間だっただろう。

ところで、文庫二冊目の翻訳者の解説によれば、
指輪は容易に時代への警鐘とか象徴として語られやすいけれども、
それは原作者の本意ではないだろうとのこと。私もそう思う。
でも、それぞれの時代に通じる何かがあるからこそ
読んで勇気付けられるのかもしれない。