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■ その基準は、ほんとうに「基準」?
数年前、カウンターでお化粧をしてもらったときのこと。
要求はしなかったのに、(誰から見ても確かに思いっきり丸いが) 頬のシェーディングを怖いくらいにしてくれた。 たれ目は気弱でよくないと、アイラインを思いっきり上げ気味に書かれた。 濃い目の口紅が流行りだと、オーバーライン気味に塗ったくられた。 そうして出来上がった顔は、 ふだん見るより確かにシャープでモードっぽかったけど、 それが本当にいいことなのか、ふと考えてしまった。
いまでもブランドをめぐると、 BA(店員)さんのお化粧が定規で測ったみたいに決まっていて、びっくりする。 美の基準が、明らかにはっきりと決められてるのよね。 正しい1点に向かって、みんなのそれぞれ違うはずの顔を、 ブランドごとに研修を重ねて、見事に修正してゆくの。
バーバリーブルーレーベルの広告だったかなあ。 「去年の服じゃ恋もできない」っていうコピーがあったと思う。 今年の、正しい、素敵な、その着こなしのために、 やっぱり当てはまらない部分を切り捨てて、修正していくのよね。
雑誌とか街中を見ているうちに、 意識しなくても、自然とはやりものに目が行くようになるけど、 自分がそれを本当に「好き」なのか。 それをしてる自分を「気に入っている」のか。 自分に問い掛けてみると、ほんとうの気持ちはすごくぼんやりしている。
なんだか物欲が強い時期みたいだ。 それはたぶん今の自分がかなり気に入らなくて、 「物」でごまかそうとしているだけなんだろうと思う。 だけどそれで埋まる部分はわずかしかなくて、 けっきょく、すてきな「物」につりあわない自分を意識して、 「無難」を選ぶくせに。
2001年10月13日(土)
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