unsteady diary
riko



 風琴工房&悪酔い


R嬢と風琴工房のお芝居を観に行った。
昨年12月に「カスパー彷徨」というお芝居をはじめて観て、
今日のが2つ目、「Sol Plastic」という作品。

童話「雪の女王」を下敷きにした現代劇なのだけど、
私にとっては、前回より少し難解に感じられた。
たぶん、日頃お芝居に慣れてないことや、
創作とかに携わっていないズブの素人だったりすることが、
関係してるのかもしれない。
キャラメルのお芝居はひたすら座っていて笑って楽しむものであるとすれば、
風琴工房のお芝居は、ひたすら考え、また感じ取るもの、という感じ。
自分から前のめりになって、ようやく少しずつ糸が解けてゆく。
難しさは無視できないけれど、自分の傷やツボにはまったときは、
はっとさせられ、残るモノもまた大きい。

今回は特に、“解らなさ”に耐えられない自分を、強く意識することになった。
解らないままが当たり前だったりする問題でも、
すぐに明確な答え、納得のいく説明を求めてしまう。
そういう主人公の「わからない!」の連発に、
思わず何度も頷いてしまう。

わからないままの部分。
納得できない部分。
どうしても好きになれない人物。
そういうのは正直かなりあって。
終わると、「ああすっきりした」じゃなくて、
考え込みすぎて、唸っている自分がいる。(笑)
R嬢と話し合ってみても、解釈が違ったりもする。
そういうふうに、個人によって考える余地があることが、
面白いんだと思う。

例えば、「私を忘れないで」っていうメッセージを
幼い子供に残して、闇の中、椅子を蹴って首をつる母親。
ものすごいエゴを感じる。
その記憶が辛すぎて、主人公は母親の自殺シーンに立ち会ったという記憶を
完全に消去してしまうのだけど。
「私を忘れないで」っていうメッセージが、
正直私にはよくわからない。
忘れられたくないという気持ちはわかるのだけど。
その一言は、わざわざ残すほどの言葉だったんだろうか。
どのみち、すっきりと忘れられるわけもない。
そしてまた、穏やかに覚えていられるわけもない。
そのくらい、強烈な光景のはず。
なのに、その言葉だけが不自然に浮いているような気がして、
最後までその解らなさを引っ張ってしまう。

それにしても、「日菜子」というキャラクターは、
最後まで好きにはなれなかった。
主人公の幼馴染みで、彼を守ろうとする健気で明るい女の子なんだけど、
そもそも、必要があるのか?とさえ思ってしまう。
たぶん、必死さとか、執着とか、ドロドロした部分が見えなくて、
天使の輪っかが見えそうなところが、
個人的に好きになれなかったのかな。
そういうふうに好きになれなくてイライラする部分には、
たぶん、またいつものように、私の痛いなにかが詰まっているんだろう。




そんなこんなでお芝居を観終えたあとは、
地元へ戻って、ぶらぶらとショッピングを。
途中で、気に入ったトップスを1枚見つける。
自分ひとりだと、黒やカーキ・ベージュのような
地味な色しか買う勇気が出ないのだけど、
友人と一緒だと、思いがけず似合うものが見つかるのがうれしい。
信頼できる誰かの声に、きちんと耳を傾けられる素直さって、大切だとしみじみ思う。

それから、かなり久しぶりに、二人で呑み屋へ向かう。
ごはんはそれなりに美味しいのだが、
アルコールがあまり充実してなくて、あまり美味しくはない。
安い呑み屋だと、まあそんなものだったりする。
ともかく今日は、体調も気分も上々のはずだった。

ところが、2杯軽いカクテル系を飲んだあと、
突然、サーッと血の気がひいた。
顔が紙みたいに真っ白になるのが自分でもわかる。
耳が聞こえにくくなって、感覚がシャットアウトされたみたいな感じで
とにかく酷い貧血の状態になる。
とりあえずそこから移動しようと歩き出したけど、
すぐに立っていられなくて、
ガクンとなって、その場にうずくまってしまった。
千鳥足とはまた違うのよ、絶対。
で、R嬢に支えてもらう。

私が飲むときは、意識も視覚も、はっきりしたまま。
どんなときも絶対に自分を見失えない。
だから、突然こんなふうに具合が悪くなってしまうと、
付き合わせる相手に悪いとか、そういう考えばかりが浮かんでしまう。
今日は気を遣う相手でなくてよかったけれど。
気分が悪いのがだいぶ復活してくると、
おしゃべりだけはすっかり元気になった。
それでも、身体だけがついてこない。
血の気が戻るまで、けっこう長いこと、立てそうで立てなかった。

久しぶりにああいう悪酔いの仕方をしたなあと思う。
ふだんは顔が赤くなるだけで、適当なところで眠くなってやめるんだけど、
ごくたまに、コンディションしだいで、こうなってしまうみたい。
相手が相手だけに、すごくリラックスして呑んでたので、
いわゆる緊張のせいでもないはずだ。
とすると、思ってたより夏ばてしちゃってるのかも。(汗)
この暑さで、すっかり睡眠不足だったからなあ。

分量をセーブすることで解決できるならそれが一番いいのだけど、
以前はコップの半分くらいサワーを飲んだだけで、
同じ状況になっちゃったことがあったからなあ。
その日によって違う自分の身体は、けっこう制御しにくい。
ああ、反省。


2001年07月15日(日)
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