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■ 避けていたい
父が明るいうちに帰ってきて、思わず母と顔を見合わせる。 聞こえない程度にため息を。 役所から家まで2時間かかるはずで、何時に出てきたんだか。
父親がリビングへ近付いてくると、 なんの文句のネタがあったか、といつも考えてしまうクセがついてる。 今日もそう。 どこかの電気を消し忘れたか、 父の布団をなにかしたか、とか思いつく限りのことを考えて、 今日はなにを文句言われるか、と待ってると。
「食事しに行かないか?それともまたあーだこーだ詮索されるから嫌だと言うか?」
「…遠慮します」
で、終わった。
怒ったことの本質はそれではないんだけど…。 結論。 一昨日の私のヒステリーは、 どうやらちっとも理解されてはいない。 まあ、理解されるはずがないんだから、いまさら動揺なんてしない。
機嫌取りのために同意して、 適当に酒の相手をしていれば、それで数日は平和に過ごせただろう。 それがたぶん賢い方法。 むこうも、妥協案として持ち出してきてるのは、よくわかる。 だから乗ってあげるのが大人だろうと思う。 実際、気持ちに余裕のあるときや、 断ったらそれこそ荒れるとわかっているときは、付き合う。
それでもなんでも、 今は嫌だったし、 私は、あの議論の蒸し返しをするつもりはない。
いつだったか、旅行先で、大学のことについて同じように父親の考え方にキレた私は、もう2度と同じ話はするまいと決めた。 違う価値観を抱いてる、それはもうどうにも手がつけられない事実だったから。 今回の就職話も、同じ枠に入れることにした。
もともと、理解されなくていいと思ってたから、黙ってたことなんだ。 だから、とにかく酷い言葉をぶつけないでくれれば なにを思っていようが、自由は自由。 この話は避けたいだけ。 それがお互いの為だと思う。
2001年06月18日(月)
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