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■ 椅子取りゲーム
グループディスカッションに参加してきた。 治りつつあるから、一発気合を入れて頑張ろうと思っていたのに、なぜか咳が止まらなかった。 咳は、我慢すればするほど苦しくて「うっ、うっ」って呼吸がおかしくなってしまうので、しゃべっている間も、誰かが発言している間も、たびたび咳をしてしまった。 一生懸命話を聞いているつもりなのに、咳をしてるなんて邪魔してるようなもの。 試験官にも、「大丈夫なんですか」とかなりツッコまれた。 「風邪気味で…大丈夫ですけど、聞き苦しくて申し訳ありません」 とにっこり笑顔で流したが、あれほど酷い咳をしてたら、「風邪気味」では済まないだろう。 危険物の札をペタっと貼られたような気がする。 ほんとうは、こんなことで評価されたくはない。 そう強く思ったから、諦めずに精一杯やったのだけれど。
勘で、今日のはダメだと思う。 私のとりえは、相手の話をきちんと聞く姿勢と愛嬌と元気のよさ。 (違うという意見は受け付けません) それが発揮できないんだもの、どうしようもない。
なんだか“一生懸命”が空回りしている。 行きたいと思えない企業ばかり受けてきて、その経験から学んだこともあれど、それがいまとても負担になっている状況なので、これからは、とにかく行きたいと思うところだけを絞っていこう、と前向きに強気になろうとしたばかりだった。 なのに。 ほんのちょっとの強気なんて、あっというまに粉々になってしまった。
ひさしぶりの大学。 もう就職課には誰もいやしない。 当然の話だ。 一般職でさえ、内定を一つももらっていない人間なんてそうそういない。 銀行は開始は遅いがたった1週間で内定が出るし、クレジット系は採用が早くから始まっているからそろそろ内定の時期。 おおかたの金融はすでに動き終わりに近いのだ。 「気にしない、気にしない」と小声で呟くが、声に力が入らない。 とりあえず、ずいぶん少なくなった求人票をメモってみたが、 有名どころばかりで、虚しくなって途中でやめる。
私が他の子に負けないところってなんだろう、と考えながら帰り道を歩く。 自分の長所なら、いまはだいぶ自覚して言えるようになったけれど、 負けないかどうかということとなると、話は違う。 限りある採用枠、椅子取りゲーム。 私には戦える武器なんて思いつかない。
2001年05月17日(木)
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