トーキョー・ハッピーデイズ
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2002年01月17日(木)  ドリンクパワー

 結局、あのメール以来、紺野くんから連絡がナイ。
 一体どうなってるのやら。

「おい」
「……」
「おい」
 高橋さんがさっきから呼んでるのって、私のこと?
 面倒くさいから黙ってよう。
 ちゃんと名前言えっての。
「おい、浅井」
「……何ですか?」
 やっぱり。
 今日はとっとと仕事片付けて帰りたいんだよね。やる気ないから。
 PCの画面から目を離さずに返事をする。
「せっかくやったんだから飲め」
 誕生日プレゼントのユンケルの話らしい。
 あれ以来私の机の電話の横に置いたままなのが気になるらしい。
「もっと忙しい時にいただきますよ」
「そん時はまたやるから、まあいっとけ」
「今はいいです」
「いいから飲めって」
「何なんですか?」
 集中できない。ちょっと頭にきて顔を上げ、向かいの席の高橋さんをにらむ。
「なんか知らねーけど気分がのらねえんだろ? そういう時にこそ飲んでみろ。効果テキメンだから」
 高橋さんはそう言って、ニヤリと笑った。
 ……私そんなに顔に出してたかな。
 そんなつもりなかったけど。
 飲みます。飲めばいいんでしょ。
 私は黙って瓶を手に取って、フタを開けた。
 微かにアルコールっぽい匂いがする。
 あんまりこういうの、好きじゃないんだ。
 息を止めて、一升瓶のイッキ飲みでもするつもりで、一息に飲み込む。
 味はよくわかんなかった。
 薬っぽい感じだけど、とにかく無理に飲んだから。
「そんなまずいもんじゃないだろー?」
「う。たぶん」
「たぶんだとー?」

 ユンケルのお陰かどうか知らないけど、とにかく仕事は捗った。
 かなり無心にPCに向かってたと思う。
 気付いたら8時を回ってた。
 PCの電源を切って席を立ったら、また高橋さんがニヤリと笑って、「お疲れさん」と言った。


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