──それは、似て非なる冬の景色。
先+先日の耐久絵チャで頂いたお題、を書いたSSの1つ目。 ほんとならば、昨日の内にアップしなきゃだったのですが(汗) 本日にずれこむ罠。←日付は30日ですが、実は31日だったり 遅くなって、すみませんでしたーー((orz
犬ベースで短文。
あの素晴らしき空間を共有した同志(笑)Aさん、Kさん、Sさん、Hさん、Yさんに捧げます。 でも、NOTエロですので、アシカラズ(笑)
どんなお題かというのは、 (11) yako > 寒くなってきたので、寒さに震えるトグサをあっためるバトさんで!(笑)←お題 原文をそのまま引用するという羞恥プレイを強いてみる罠で告知。
わはは。
また、冬が来た。 灰色の冬が。
卒塔婆の群れに、沈む北端。 灰色に、染まる択捉。
あの時と同じ、冬が。
「・・・寒」
どんよりと淀む曇天を仰ぎ、溜息と共に吐き出した言葉は、今の状況を簡潔に表していた。
寒空の中、車も使わずに街をさ迷い歩く男の行確。 それをするのに、これほど厄介な季節もない。 これが春だったならば、気を散じることもなく、男の追跡に集中出来たろうに。
溜息がまた、口を吐いて出る。
その吐く息は白く、首筋から忍び込む冷気は、刺す様に冷たい。 どれほど着込んでも、身の内に染み込んでくる様な寒さに、身震いしてしまう。 自分が吐き出した白い息を眺め、無駄な努力だが、手袋をはめた手でコートの襟を掻き合せた。
「生身は柔だな」
その瞬間。 隣を歩く男の低音が鼓膜を撫で。 次いで、手の甲が、頬を撫でた。 普段はその体温を消し去っているはずの男、その、微かな温もりに。
触れた途端、寒さが、消えた。
また、冬が来た。 灰色の冬が。
卒塔婆の群れに、沈む北端。 灰色に、染まる択捉。
あの時と同じ、冬が。
けれど。
あの日、あの時とは。 似て非なる冬が、来たのだと。 その温もりに触れて。
気付いた。
END
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