6匹目の兎<日進月歩でゴー!!>*R-15*

2006年02月05日(日)   赤眼の魔女

ハァィ!
6日にアップしてある「猫・続編」の穴埋め的文をこそーりアップですよ。


時系列に並べると→猫とリボン→赤眼の魔女→犬と首輪→になります。


気付いたら、増殖していた(。。;)ので、追加でアップの方向。
明日まで、待てない感じだったので、空いてる日付を利用しました☆

妄想し始めると、際限が無いですね、自分。

もう、なんていうか。
トンでも設定どころか、オリジナルに近付いてます。

恐ろしい。

最初はSACベースイメージだったんですが。
原作ベースのほうが、しっくりくることが発覚。
まぁ、どっちもありでいいんですがね。
だって、トンでも設定だから(ヲイ)

ごった煮でも、イイジャナイ。

ノッテると、一気に書ける。(本日の一気書き文、終了)
だんだん、長文モードに入ってきたかも新米。
ウッシャ!!

























バトーがトグサでもある猫を片手で抱き、女の住まう隠れ家を訪れると。
その到来をあたかも知っていたかの様に、女と、それに従う男達が集まっていた。
足を踏み入れた部屋は、壁の総てが書架になっており、時代を感じさせる蔵書の数々がきっしりとそれを埋めている。
しかし、不思議と室内は暗く無く、心地好い昼の日差しにも似た光が部屋中に溢れていた。
赤錆色をしたソファに腰を下ろしていた女が立ち上がり、近付いてくる。

「嬉しいわ、トグサ。やっと私の仲間になってくれるのね」

≪やっと私のモノになったわね≫

聞き間違いか。
空耳か。
二重音声のように、女の声が鼓膜を震わす。

黒い服に身を包む、紫暗の髪、赤眼の美しい女。

これが魔女、素子だ。総てのモノを操り、己の思うままに世の中を泳ぐ、異能の女。
素子は、バトーに抱えられた茶色の猫に微笑んだ。自分が縛った赤いリボンを指先で弄び、再び、紅い唇に笑みを刻む。
今の幻聴は、きっと間違いなく、この女の本音。真実の声だ。
バトーはその妖しい色を含む笑みを見て確信した。
「これから、宜しく頼むわ、トグサ」
呼ばれたトグサは、微かに、にゃぁと鳴いて、バトーのジャケットに身を摺り寄せた。
まだお仕置きを解かれていないし、身の危険を感じているのだろう。(確かに、何をされてもおかしくない女が目の前にいるのだ。恐れない訳が無い)
しかも、見知らぬ男達もいる。
今ここでトグサが頼れるのはバトーしかいない。
この際、情けないとか恥ずかしいとか、そんな感情は胸の奥底にしまっておくことにして、トグサはびったりと広い胸にはりついた。
そんな気配を読み取って、バトーは宥めるように、のどの辺りを指の背で撫でてやった。


二人を視界に捉えながら、素子は言葉を続けた。
「まずは仲間を紹介しないとね」
思い思いの場所に佇んでいる男達に視線を投げる。
「右から、イシカワ。ボーマ」
髭面の男は片眉を吊り上げてから、ニヤと笑い。
スキンヘッドの大男は、朱色の義眼を向けると、笑って手をヒラヒラさせた。
「それから、サイトーにパズよ」
女の声に頷くと、隻眼の男は、少し口許に笑みを浮かべ。
煙草を咥えた細目の男は、紫煙を吐き出し、目を眇めた。
「あと・・・これは私の使い魔の」
パチンと指を鳴らすと、握り拳ぐらいの大きさの、赤と青の塊が現れる。
蜘蛛の形を模した、機械のようなものがきゃぁきゃぁと、宙を舞い始めた。
「赤いのがフチコマ、青いのがタチコマ。これが時々、私の言葉を運ぶから覚えておいて」
素子の細い指が再び、音を鳴らすと、それらは掻き消えた。
「もう一人。大切な人を紹介したいんだけど、今は出掛けていて不在なの。私達のボスの荒巻大輔。明後日には戻ってくるから、その時を楽しみにしてて」
素子はにっこりと微笑むと、バトーの胸にしがみ付く様にして身を竦めているトグサに手を伸ばし、一撫でした。
「ほんとに嬉しいわ。貴方が仲間になってくれて」
未だ猫の姿のトグサは、身を竦ませると茶の瞳で縋るように、バトーを見上げる。
それに頷くと、言葉の話せないトグサに代わってバトーが本題を切り出した。
「おい、素子。もういいだろう?こいつ、元に戻してやってくれよ」
「────いいわ。お仕置きはコレまでにする」
赤眼の魔女は満足気に目を細めると、トグサの小さな額に口付けした。
すると、誰かに解かれたかの様に赤いリボンはするりと解け、猫だった姿があっという間に、人の姿をとる。
瞬きするほどの時間で、抱きかかえられる程の小さな体から、慣れたいつもの自分の身体に戻れたトグサは、自分が変えられる前に着ていたスーツであることを確かめ、
「元通りだ・・・」
耳のあった頭としっぽがあった尻のあたりを手で探り、何度も、元通りだと呟いた。
それを見ていたバトーは、
『元に戻っても、小動物みてぇ』
内心でそんなことを思い、気付かれぬよう、声を殺して笑った。


「じゃあ、顔合わせはこんな感じでいいかしらね。トグサ、仕事には明日から就いてもらうから、そのつもりでいて」
素子は、そんなトグサの様子にくすくす笑いながら、踵を返した。
「解散」
手を上げて、一言。そして、書架をくり抜く様に設えられた、深い茶色の扉に向かって歩いて行く。
しかし、素子はふいに立ち止まり振り返ると、何気ない様子で。
「あ、トグサ。借りてたアパートは引き払ったから、帰るならバトーの家にしてちょうだい。勿論、荷物は全部、送ってあるから安心して」
傍若無人な物言いをして微笑んだ。
コレが総て、最良だ、とでもいうように。
それを聞いたトグサの頭も、バトーの視界も真っ白になった。

引き払って。
送った。

当人達の意思など関係ない所業、そして、究極の事後報告。
「はぁっ?な、な、何言って・・・!???」
「俺んとこかよ!!!」
素子は、二人の衝撃と叫びを無視して扉に手を触れると、またねと空気に溶ける様に消えてしまった。

要するに、やり逃げ。言い逃げ。勝ち逃げでもある。

「あ、あ、あの女・・・・・・」
トグサは、がっくりと力なく、その場にしゃがみ込んだ。
「ご愁傷様〜〜」
「さすが、我らが魔女殿。仕事が早い」
「まぁ、諦めが肝心だ」
「────慣れれば、困らん」
その場にいた男達は口々に、慰めだかナンだか判らない、無責任な言葉を猫の様に丸められたトグサの背に降らせた。
「ば、ばとー・・・・・・」
涙の滲んだトグサの目が、助けを求め見上げてくる。
バトーは、それに頷いた。
人間であろうが、猫であろうが、この目の威力に変わりはない。
この視線はバトーにとって、酷く、心地好かった。
全く、素子の審美眼は、文句のつけようが無いくらい素晴らしい。

≪私のゴーストの囁きは絶対よ≫

バトーの耳元に、女の勝ち誇ったような声が響いた。ような気がした。
「トグサ、みなまで言うな」
慰めるように、口許を神妙に整えて。
運命共同体のような顔をして、茶の目をいたわる。
その裏で、バトーは少しだけ素子に感謝した。
この男が仲間になり、そして、自分と一緒にいることになったのだ。
感謝せねばなるまい。

それを生み出してくれた、魔女殿には。

へたりこんだトグサの頭をぽんぽんと叩きながら、
「何はともあれ。攻殻機動隊へようこそ、トグサ。仲良くやろうぜ?」
バトーは口の端を引き上げた。
「・・・・・・・・・」
「ここにいる奴らは、同じ穴のムジナだ。心配すんな。皆で楽しくやろうや」
脇の下に手を差し入れ、軽々とトグサを持ち上げ、立たせてやる。
それから、首を傾け、トグサを見た。
「な?」
そんなバトーを見、少し俯いたトグサだったが。
諦めたように溜息をつき、でも、次の瞬間にはさっぱりした笑みを浮かべて、頭を下げた。
「こちらこそ。よろしく、バトー。それから、皆も」

生真面目で、律儀なその挨拶に、その場に居た者達から笑いがこぼれた。







赤眼の魔女のご機嫌をとりながら、集会を開くのも。
悪くない。
誰も彼も、いつしか、こんな風に考えるようになる。

だから、何も心配せずに、楽しんだらいいのだ。
日々、日常を。










END


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武藤なむ