| 2005年08月23日(火) |
BT30題 「 11) ピュアな愛情 」 |
犬ベース。
やっぱり、法則通り、暗い感じに仕上がった。 しかも、切ない系。
甘い話にしたいんだが・・・(遠い目)
無垢な愛情。 汚れ無き白の感情。 何の打算も見返りも求めない、無償のカタチ。
あの男のピュアな愛情は、すべて、彼女に向けられているに違いない。
紫暗の髪、朱色の瞳、全身義体のサイボーグ。
殻を脱ぎ捨て、この世界から、飛び立ってしまった彼女にだ。 想いを伝える術も、触れ合える身体も、語り合う言葉もなくなってしまっても。 愛しいと想った気持ち。 そのピュアな愛情に。 バトーは固執したまま、過去に囚われている。
運命の女。 バトーにとって彼女はまさしくそれなのだ。
そして。 俺の中のピュアな愛情は、家という安らぎを与え合う、妻と子供に向けられている。 明るく微笑み、疲労に苛まれる自分を優しく迎え入れ、癒してくれる。 彼女達に。 自分のピュアな愛情全部が、彼女達のものだ。 他の誰にも、それを与えることはない。 ゴーストは、彼女達が愛しい、大切だと囁き続けている。
命を懸けて守りたいと望む女は、彼女達だけだ。
けれど。 自分の奥で燻り続けるゴーストは、その同じ口で、違う言葉をも囁く。 彼女達が愛しいと囁きながら。
あの男も愛しいと叫ぶのだ。
なんて身勝手な。 なんて不実な。 ゴーストの囁き。
でも、もうこの囁きをないことには出来ない。 気付いてしまったから。
しいていえば。 これは、ピュアじゃない愛情。
この男に抱いている感情は、白には程遠い。 きっと、深く黒く塗りつぶされた色をしているに違いないのだ。 この、つれない義眼の大男に。 自分を。 現在を。 まるで無いことのように振舞う男に。 抱く気持ちは、複雑で。 打算も、嫉妬も、見返りもその内に在るのだから。
自分の奥底深く、真っ暗な部分に、ひっそりと佇む。 そのピュアじゃない愛情を。 捨てずに、心の中で飼う。
あんたにも、ピュアじゃない愛情って、あるか? あるなら、俺の苦しみを理解してくれるだろうか?
いや、理解してくれなくてもいい。
切なく苦い、危険に甘い、この感情のすべては。 永遠にこの男に届くことはない。 知って欲しいとも、思わないから。
そう。 知られてはいけない、このピュアじゃない愛情を。 あんたにだけは。
陽炎のように揺らぐ、無垢な愛情。 染まり、歪み、欠けながら変質する無垢。
硝子細工のような無垢なままの愛情と。 そして、砕けてしまった無垢じゃない、愛情。
END
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