6匹目の兎<日進月歩でゴー!!>*R-15*

2005年08月23日(火)   BT30題 「 11) ピュアな愛情 」

犬ベース。

やっぱり、法則通り、暗い感じに仕上がった。
しかも、切ない系。

甘い話にしたいんだが・・・(遠い目)



































無垢な愛情。
汚れ無き白の感情。
何の打算も見返りも求めない、無償のカタチ。





あの男のピュアな愛情は、すべて、彼女に向けられているに違いない。

紫暗の髪、朱色の瞳、全身義体のサイボーグ。

殻を脱ぎ捨て、この世界から、飛び立ってしまった彼女にだ。
想いを伝える術も、触れ合える身体も、語り合う言葉もなくなってしまっても。
愛しいと想った気持ち。
そのピュアな愛情に。
バトーは固執したまま、過去に囚われている。

運命の女。
バトーにとって彼女はまさしくそれなのだ。

そして。
俺の中のピュアな愛情は、家という安らぎを与え合う、妻と子供に向けられている。
明るく微笑み、疲労に苛まれる自分を優しく迎え入れ、癒してくれる。
彼女達に。
自分のピュアな愛情全部が、彼女達のものだ。
他の誰にも、それを与えることはない。
ゴーストは、彼女達が愛しい、大切だと囁き続けている。

命を懸けて守りたいと望む女は、彼女達だけだ。

けれど。
自分の奥で燻り続けるゴーストは、その同じ口で、違う言葉をも囁く。
彼女達が愛しいと囁きながら。

あの男も愛しいと叫ぶのだ。

なんて身勝手な。
なんて不実な。
ゴーストの囁き。

でも、もうこの囁きをないことには出来ない。
気付いてしまったから。

しいていえば。
これは、ピュアじゃない愛情。

この男に抱いている感情は、白には程遠い。
きっと、深く黒く塗りつぶされた色をしているに違いないのだ。
この、つれない義眼の大男に。
自分を。
現在を。
まるで無いことのように振舞う男に。
抱く気持ちは、複雑で。
打算も、嫉妬も、見返りもその内に在るのだから。


自分の奥底深く、真っ暗な部分に、ひっそりと佇む。
そのピュアじゃない愛情を。
捨てずに、心の中で飼う。



あんたにも、ピュアじゃない愛情って、あるか?
あるなら、俺の苦しみを理解してくれるだろうか?

いや、理解してくれなくてもいい。

切なく苦い、危険に甘い、この感情のすべては。
永遠にこの男に届くことはない。
知って欲しいとも、思わないから。

そう。
知られてはいけない、このピュアじゃない愛情を。
あんたにだけは。






陽炎のように揺らぐ、無垢な愛情。
染まり、歪み、欠けながら変質する無垢。

硝子細工のような無垢なままの愛情と。
そして、砕けてしまった無垢じゃない、愛情。





END


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武藤なむ