6匹目の兎<日進月歩でゴー!!>*R-15*

2005年04月13日(水)   11のお題 「触れない」

これは、だいぶ前に表の方でアップした「触れない」のバトさんバージョンだったりします。
別に、表においてもいいんですが。
なんか、自分がむしょーに恥ずかしかったので(笑)

裏におくことにしました。

えへ・・・裏っぽいのを期待した方、ごめんなさい・・・・・orz
へタレな私・・・。
あれだけ、絵茶コーナーでは裏全開でやっといてね☆
まったく。
腐女子心は微妙なものです。




片想いバトさんは、書いてると楽しい。
いろいろ、恥ずかしいけども(笑)

























触れない。
自分が手に入れられるような、存在ではない。
触れれば。
求めてやまない、心の箍が外れる。








男に、こんなことを想うようになるとは。
しかも、相棒に。
妻も、子も持つ、三十代の男に、だ。

人生ってのは、わからねえ。

バトーは我ながら呆れ、心の中でそう呟いた。
そんな思考を持つようになった自分が、はっきり言えば、可笑しくてたまらない。
が、隠しようもない。
これが心の底に潜む真実というものでもあった。

こうとなっては。
己でも、どうしようもない。
触れたい。
手に入れたい、と。
叫ぶ獣に抗うには、そうとうの力が要ったが。

この距離。
今の、この距離を壊したくない。
その、もう一つの真実を盾に、バトーは、自分自身を律していた。





目の前で昏々と眠り続けるトグサをみて、深い溜息を吐く。
トグサは仮眠室で寝るよりも、共有室のソファに身を横たえ、眠ることが多い。
バトーが、どれほど言っても、この睡眠スタイルは変わらなかった。

この、残酷なまでの無防備さは、どうか?

歯噛みをしたくもなるが、落ち着けと自分に言い聞かせる。
だいたい、ここでトグサを責めるのは、お門違いというものだ。
トグサは知らないのだから。
ここにいる相棒が、自分に対して、特別の感情を抱いているなんてことは。
全く。
露ほども。


わからせて、警戒させるべきか。
と思うが。
トグサに、警戒されるのは、痛い。
とも思う。


任務にも支障が出るだろう。
それは、不本意なことだ。
故に。
まんじりともせずに、トグサの寝顔を眺めることになるのが、常だった。





バトーは、いつものように、もう一つあるソファに腰を下ろした。
暇つぶしにテーブルに投げ出されていた新聞紙を読もうと、バトーが手に取ろうとした瞬間。
ソファが軋んだ。
それに同調するような、身動ぎする音。
ついで、掠れた声がした。
「─────旦那?」
「おう」
ソファから身を起こしたトグサが、目を擦りながら、時間を確認してくる。
それに答えてやりながら、バトーは座ったばかりだが立ち上がった。
「コーヒー、飲むか?」
「・・・悪い。頼む」
トグサはそれに言葉を返し、更に口の端を引き上げて、続けた。
「旦那、どういう風の吹き回し?もしかしたら、今日は雨かも」
「───いらねえのか?」
「いります。お願いします、センパイ!」
寝起きでも憎まれ口を忘れない相棒に、バトーは軽くトグサの頭を小突いた。



コーヒーを手に戻ってくると、トグサはまだ眠いと訴える瞼を必死に持ち上げようと、格闘している最中だった。
乱暴に、目を擦り、額を拳で叩く。
その必死の抵抗に、バトーは呆れた。
往生際の悪い。
「大人しく、仮眠室に行って、寝ちまったらどうだ?こんなとこじゃなくよ」
コーヒーを差し出しながら、忠告するが、トグサはそれを受け取りながらも首を振った。
「いや。止めとく。そんなことしたら、呼び出しがあっても反応できねぇもん」
欠伸を一つ、それから、コーヒーを一口飲む。
そして、まるで子供のように幸せそうな表情をするトグサにバトーは苦笑した。
これが、妻子持ちのカオだろうか。
「あー、目が覚めるー」
「そうかい」
「大先輩の優しさのおかげ」
「なら、もっと感謝しろよ、後輩」
いつもの軽口。
にやっと笑ったトグサは、
「してるよ、いつもね」
そう言って、またコーヒーを美味そうに飲んだ。





何気ない、日常をそこに感じる。
心の底の獣が、なりを潜めるのは、こんな瞬間だ。
それを壊したくないのは、獣も同じか。
欲しいと叫びながら、傷つけることを恐れ、怯む。
ならば。

自制。
叫ぶ獣を飼い馴らし、触れない。
叫びを飲み込み、この距離を保つ。

これが、最善だ。



バトーは、己に言い聞かせた。


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武藤なむ