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 指輪物語<追補編>/J.R.R.トールキン

内容(「BOOK」データベースより)
恐ろしい闇の力を秘める黄金の指輪をめぐり、小さいホビツト族や魔法使い、妖精族たちの果てしない冒険と遍歴が始まる。数々の出会いと別れ、愛と裏切り、哀切な死。全てを呑み込み、空前の指輪大戦争へ―。世界中のヤングを熱狂させた、不滅の傑作ファンタジー。トールキン生誕100年記念出版。


映画「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」を観て、また原作を読みたくなった。壮大な物語だから、何度読んでも覚えきれない事柄がたくさんある。しかしトールキン自身が言っているように、この物語は実際には短すぎるのだ。そのため、『追補編』やら『シルマリルリオン』やら、本編を補う物語を読まなくてはならない。(原書には、「The Return of the King」の巻末に、「Appendix」(付録)として、『追補編』にあたる部分がついている)

本編以外を無視しても、それはそれで十分楽しめるのだが、一度読み出すと、あれもこれもとなってくる。はっきり言って、それらはあまり読みやすいものではないと思うが、読み始めてしまうと、本編にさらに肉付けが加わって、ただでさえ深い世界が、さらにさらに深くなってくる。

一番驚く(というか、呆れるというか・・・)のは、今に知ったことではないけれども、エルフ語をはじめ、いくつもの言語をトールキンが作ってしまったことだ。私たちがオリジナルであると認識している英語で書かれた本は、中つ国のいろいろな言葉を、「英語に翻訳したもの」ということなのだ。翻訳にあたって、ああしたこうしたということも書かれている。そこまでいくと、もう単なる物語ではなくなって、実際にこういう世界があったのだと思えてくるのがすごい。本当にすごい!

もし物語が分かりにくいとするなら、この言語の部分だろうと思う。つまり、西方の共通語ではこう言うが、エルフ語ではこう言うといったように、同じものを指す場合でも、違う言い方がいくつもあるからだ。そこで迷ったり、全然別のものと勘違いしたりすることも多いだろう。

けれども現在の世界のことを考えても、たったひとつの言語しか使われていないわけではないから、「中つ国」という世界に、いくつもの異なった言語があるのは当然と言えば当然だ。そこまで考えて物語を作った作家は、トールキンをおいて他にはいないだろう。読めば読むほど偉大さが増す作家である。トールキンの世界は、生半可なファンタジーではないと思い知る。

ところで『追補編』を読んでわかったのだが、アルウェンは、アラゴルンよりも2690歳も年上だったのだと知って、びっくり!エルフだから年上だろうとは思っていたが、そんなに離れていたとはね!ちなみに指輪戦争時、アラゴルンは86歳だった。

さらにエルフが隠していた3つの指輪は、フロドとビルボを伴って灰色港から船で中つ国を去るときには、エルロンドが「青い石のヴィルヤ」、ガラドリエルが「白い石のネンヤ」、ガンダルフが「赤い石のナルヤ」を持っていたが、そもそもエルロンドのヴィルヤはギル・ガラドが、ガンダルフのナルヤは船大工のキアダンが持っていたものを譲り受けた。

また、映画ではそれが中つ国から出る最後の船だということになっているが、原作ではその後も船は出る。アラゴルンが没したあと、レゴラスとギムリも船に乗って中つ国を去る。ドワーフを伴って行くことには、おそらくガラドリエルの助力があったものと思われる。

などなど、本編だけでは知りえなかった事実(?)が、『追補編』や『シルマリルの物語』『終わらざりし物語』などでわかる。人物、場所、出来事などがたくさん出てきて、まるで歴史書みたいで読むのが大変だと思っていたが、読んでおくとさらに深く楽しめることがわかった。

2004年02月08日(日)
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