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 白衣の騎士団(上・下)/サー・アーサー・コナン・ドイル

<上巻>

時はエドワード三世(英仏百年戦争の開始者、1300年代)の頃。
ビューリー大修道院で20歳まで過ごしたアレインは、ここに預けた父エドリックの遺言により、世間に出ることになった。1年後、修道院に戻ってもよし、戻らなくてもよし、好きな道を選べというのだ。

まずは兄ミンステッドのソークマンを訪ねて行ったアレインは、途中で、男に襲われている美しい少女を助けるが、なんと襲っていたのは兄その人であったため、兄によって殺されかける。これでは兄のもとに身を寄せることもかなわぬと、旅の間に出会った、これまたビューリー大修道院を追いだされたホードル・ジョンと騎士サムキン・エイルワードと合流し、不承不承ながらも「白衣の騎士団」に入る。

この3人が向かったのは、サー・ナイジェル・ローリングの城。ここでアレインはサー・ナイジェルの従騎士となり、その娘レディ・モードの家庭教師の役も務める。このレディ・モードこそ、兄から助けた、あの美しい少女だったのである。

かくして、サー・ナイジェルが「白衣の騎士団」の隊長となり、総勢120人の騎士団は、エドワード三世のいるフランスへと赴くのだが、途中の港町で海賊退治を頼まれ、行きがけに戦いをしながらフランスへと渡り、無事エドワード黒太子に謁見することとなる。

スコットの「アイバンホー」以来、最高の歴史小説であるとされながらも、日本ではあまり知られていないドイルの歴史小説。ドイル自身、最も力を入れて書いたのは歴史小説であったという。母親の影響で、騎士道精神を教えられ、紋章学などもたたきこまれたドイルだけに、騎士についての描写はかなり細かい。

ここまでの話では、アレインが主人公なんだろうと思うが、まだ定かではない。主人公というのは特になく、それぞれの騎士についての記述が続くのかもしれない。

最初のほうで、アレインたちが出会い、サー・ナイジェルのところに行くまでの顛末は、特に冒険らしいものもないので、いささか退屈。話の運びとしては、「アイヴァンホー」のほうがテンポがあってわくわくする。

このあとは、まだまだうぶな修道士といった感じのアレインが、今後どのように成長するのか、また続編『ナイジェル卿の冒険』があるように、サー・ナイジェルがどのような活躍をするのか、そのあたりが楽しみではある。


<下巻>

下巻も一気に読了した。
でも、これは面白かったためではない。やたらとどうでもいい騎士の名前や紋章が出てきて、退屈だったので、じっくり味わわずにとにかく読み終えたかったから。T.H.ホワイトもそうだが、作家が自分の趣味に走って書くと、あまり良い結果にはならない。

ところが、この作品は欧米では非常に評価されており、つまりは日本人が戦国武将の話をやたら詳しく語りたがったりするようなもので、欧米、特にイギリスでは、受けるものなのだろう。

ドイルの話の運び方も個人的には気に入らない。例えば、「アレインが決闘をする顛末」とか「サー・ナイジェルが謎の騎士と再会する顛末」といった具合に、1章ずつで話が終わる。全体としてのストーリーはあるのだが、「顛末」で終わってしまうために、次の章への好奇心が薄れる。

上巻で、主人公はアレインだと思うと書いたが、特定の主人公はおらず、「白衣の騎士団」が主人公で、その騎士団に起こったエピソードを繋げているといった感じ。もちろんアレインやサー・ナイジェルは主要な登場人物で、上巻であげたホードル・ジョンやエイルワードも活躍する。

さまざまなエピソードを経て、最後にはエドワード三世自らがアレインを騎士とし、アレインは愛するサー・ナイジェルの娘レディ・モードとめでたく結婚する。そして、ほかの主要登場人物も皆、幸せに暮らしましたとさ、というわけ。



2003年03月12日(水)
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