へそおもい

2013年08月27日(火) まずいカレー

夜になると
虫の声。

朝晩はさむくて

すっかり
秋。


久しぶりに
池澤夏樹を
よんでいる。

南の島のティオ


よみすすめるのが
もったいなく
感じるくらい。

たまらなく
好きだ。


自然豊かな
島の物語で

個性の強い
いろんな人間たちや
みえないものたちが
でてきて

しあわせなだけでなく
人間視点で残酷なことも
淡々と
あたたかく描かれている。

わたしは
そんな物語が
好きみたいだ。


10年ほど前に

タン・ナピ・ナピ
〜バリ終わらない夏の島〜

というバリの本を
古本屋でみつけて

その本は
いまでも宝物なのだが。

その本と
通じる
たまらなく
わたしが
好きな要素が
はいっている。

タン・ナピ・ナピは
どうやら
あんまり
売れていない本みたい。

わたしが
すきなものって

あんまり
みんな
すきにならないんだよね。

うれしいような
さみしいような。





毎週火曜日の職場の近くに
インドカレー屋さんがあった。

日本語片言のインド人が
ふたりくらいでやっていて

愛想はわるいけど
スパイスがきいた
インドの家庭料理的な味で
とってもおいしかった。

野菜カレーなんて
野菜たっぷり。

野菜をスパイスで
じっくり炒め煮したようなカレーで
とってもコクがあった。

サモサも
カタチはいびつだけど
中身がずっしりつまってた。

時々
サービスで

かぼちゃナンを
かじらせてくれたり、

気まぐれでついてきた
インドの漬物を
おいしいといったら

タッパにいれて
無料でもちかえらせてくれたり。

あんまり
お客さんがいなくって

従業員はゆるくって
大好きだった。

毎週お昼に通っていたのだが


最近になって
突然

看板に電飾がついて
派手になって

メニューもかわって
料理人もかわって

ターバンまいた
やり手のインド人店長みたいな人が
ホールをきりもりしはじめた。


きょう
食べにいってみたら

よく
そこらにある
日本人向けの
インド料理に
なりさがっている。

生クリームがたくさん入ったような
油の多い具の少ないカレーで。

使ってるスパイスの種類が少なくて
ぜんぜんスパイスが効いてないくせに
子どもだましみたいに

ただ
辛さが5段階くらいで
選べるようになっていて。


サラダもただ
キャベツを細切りにしたのに
オレンジの
ドレッシングかけてるだけで。

ホットチャイもメニューから消えて
珈琲と紅茶…とかになってて。


あんまりおいしくなくって
食べてもエネルギーになる気がしなくって
半分くらい
のこしてしまった。


食べ始めた
食べ物を途中で残すって
あんまりしたことが
ないわたしが

こんなに
のこすなんて
めったなことじゃないのだ。


それなのに
お客さんは
まえより
ずっとたくさん入って
にぎわってて。

それが
いちばん
ショックだった。

みんな
こんなので
いいの?

前のカレーの方が
前の店員さんの方が
ずっと
心こもってたじゃない!


日本の空気中に
大切ななにかを

マヒさせる物質が
入っていて

みんな
マヒさせられているみたいに
感じた。


目をさませ
日本人!

って
心の中で
さけんでしまった。



やっぱり
私が好きなものって

あんまり
みんな
好きにならないんだよね…。

うれしいような
さみしいような。


*ソラネコライブ*

■9月14日 ムジカジャポニカ


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はたさとみ [MAIL]

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